久々のレコードの登場です、ということでフィーリーズ。アメリカ出身のバンドですが、レーベルはStiffということでUK資本からのデビューでしょうか・・・。タイトルと(そして中身とも)かけ離れた、何とも人を食ったようなジャケットですね。ご丁寧にもメンバーの姿は上から塗りたくられたようになっていて、いかにも懐かしい曲を寄せ集めた編集盤にありがちなコテコテの演出ジャケ。そういう意味ではこちらも人を食ったジャケ、Throbbing Gristle「20 Jazz Funk Greats」のジャケット・コンセプトに近いのではないかと勝手に思ってます↓。発売年も1年しか違わない(20 Jazz...は1979年)。
本作に戻りまして。中身の方ですが、タイトル「Crazy Rhythms」が示す通りリズムサウンド(特に打楽器やパーカッション)は音が強烈にプッシュされていて、例えば1曲目「The boy with perpetual nervousness」はパブロック風でもあるスピーディな曲で(どれもスピーディですが)、なんとスネアとタムを叩く役割が分かれてます。別だん一人で叩くのが難しいフレーズというわけではないのですが、二人で役割を分けての集中された打音はかなり深いものがあって、しかもセットを切り離して録音しているからなのか、それぞれの音が独立して違うところから聞こえてくるので印象度が実に高いです。ほとんどでハイハットを使った音作りを放棄しており、リズム変革に意識を置いたことが伺えます。
ギターは多くの場合エフェクタを使った音色の変化に頼らず、前のめりに出していくダイレクトな音が小気味良いです。B面ではビートルズ「Everybody's Got Something th hide」演ってますが、この原曲もうるさい金物の音と絶妙な刻み方がインパクトのある曲なので、これを選んだのも筋の通ったもののように思えます。
前半で書いたジャケについてですが、やはりフォロワーもいるようで、Weezerの1994年のファースト・アルバムに近いんだとか。言うほど似てるか?という感じもしますが、どうなんでしょう。今ちょっと見たら、このアルバムのプロデュースがカーズのリック・オケイセックなんですね。今度借りてこよう(いまさら)。
それ以上に似せているのが日本のバンド、チャットモンチーのChatmonchy has comeというミニアルバムのジャケット。立ち位置のみならず、メンバー写真の鮮度を下げるとこまで似せてます。しかしフィーリーズのように手書き感で塗りたくると結構気持ち悪くなるので、ほどほどにとどめた感じでしょうか。市場は辛いよ。 ※各ジャケは作品名をクリックして見ることができます。
上が問題のCars「Candy-O」に収録された曲「Shoo Be Doo」で、下が本作の一つ。Sursideといえば遙か遠くの闇まで届くようなエコーのかかったボーカルと、時折見せる舌打ちや狂気の叫びが特徴的ですが、このShoo Be DooでRicが歌う様はまさにそれ。Carsのアルバムの中では意表を突く小曲となっていますが、果たしてどちらが影響を受けてこの相関関係となったのか。どちらにしろSuicideのセカンドアルバムでの指向性は、Ricが直前に演っていたことの影響が大きいと思われます。この時はすでに人気の高かったCarsでしたが、メジャーシーンとは縁の無かったSuicideのサウンドと密につながっているのは意外に思われます。デビュー時期が近いので、もしかしたら古くからの知り合いとかだったかもしれませんが。それともレーベル間の関係?