あけましておめでとうございます。なんですけど、昨年末に余らせていたお題をひとつやらせてもらおうかというつもりなわけです。初めてきいたアルバムに限定しています。
1.Orquesta ARAGON「Danzones de ayer y de hoy vol.1」(1960'S?・キューバ)
御茶ノ水の「Turn Table」さんが閉店する際、テキトーに拾った1枚。1939年からキャリアをスタートさせ、2000年以降も続けているキューバのグループのようです。これは恐らく編集盤?だと思うんですけど、こちらの盤の主流はアメリカ盤。しかし、手元にあるのはどうも違う気がする……ジャケがめちゃくちゃ粗悪ですし。検索では出てこないレーベルです。カナダ盤かもしれないですが、もしかしたられっきとしたキューバ盤なのかもしれない。キューバてレコード作ってたんですかね。どうなのよグリエル。
それはともかく、息の合ったバンド演奏が素晴らしい上、音も極上!youtubeでも後年の彼らのサウンドを堪能できます。
2.Silver Apples「Contact」(1969・米)
単独ではCDで出てないんですね。有名なのは銀色なリンゴの絵をしつらえたファーストですが、セカンドのこちらも非常に良い。
このデュオは謎のエレクトロニクスな楽器とドラムの編成。60年代からこんなことしてるのがいたんです。しかもレーベルが歌ものバリバリなKappってのがまた。あらゆる音楽が混在していたあの頃特有の現象です。
デヴィッド・ボウイそっくりな歌声で、そのボウイの感性を10年先取りしたダウナーな曲、虚ろな空間にバンジョーが鳴り響く曲(まさにスペース・カウボーイ)と、これはもう独自路線、ヒットは叶わないと知りつつも……こうしてあの時代に埋もれたレコードにこそ愛着を持ち続けたいもんです。ジャケットフロント・バックともに最高ですしね。
3.Duncan Browne「Duncan Browne」(1973・英)
今年ですかね、日本盤で良心的価格なCDが再発されました。いまやレコード界隈では人気を誇るダンカン・ブラウンのレコード群。こちらもUK盤はかなりお高いです。
ライナーを読んで初めて知りましたが、ゾンビーズのコリン・ブランストーンと交流が深かったそうです。後にキンクスへ加入する面々とも。ダンカン自身は自作自演なだけでなく、ギターも凄腕。イギリスらしい哀愁ある歌メロディ、それを彩るアコースティックなギターの響きを聴いて、心を潤わせましょう。この後結成するMetroのファーストも大推薦盤。
4.The Noel Redding Band「Blowin'」(1976・英)
CDがまともに出ていない(2in1くらい?)ノエル・レディングのソロ・プロジェクト。ジミヘンのバンドでベースを弾いていたというのに。そりゃたしかに地味な作品ですが、そういうのを聞いていたい時というのもあるもんです。「激情」も、狙いすました「ゆるさ」も、どちらも排した身のこなし。「ロックはシンプルだ」と言うけれども、たいがいの演者はいろいろな期待を込めて演奏を工夫するもんです。本作がどう聞いても売れ線でないのは、悠然とした軽妙さに支配されているためかもしれません。それが、他と比べがたい魅力でもあります。こんなこと書くと「何を言ってるんだこいつは」と思われそうですが……。
5.五つの赤い風船「イン・コンサート」(1970・日)
URC系フォークというのはレコードもCDも値段が高くて、どうも手が出ない。最近出たベルウッド系(?)のも高いですもんね。そんな中「五つの赤い風船」はとても売れていたので、レコードはめちゃ安価で手に入れられます。
A面は今聞くとどうにも受け付けがたい歌詞ですが、珠玉はB面にあり。まずジャックス「からっぽの世界」が始まるんですね。しかも歌とギターは早川義夫、ドラムは木田高介(五つの赤い風船の中心人物・西岡たかしはギターに回っています)。続く「母の生まれた街」も木田のドラムが冴え、西岡の鬼気迫る歌も素晴らしい。西岡が得意にしていたというMCでもすごくいいこと言ってますしね。
6.The Hollies「In London Live」(1969・英)
CD自体は2014年に出たもの。1969年にBBCテレビで何度か放送されたライブをまとめた音源です。メンバーはグラハム・ナッシュからテリー・シルヴェスターに変わっており、アルバムの関係もあってディランのカバーが多いです。豪華な初期ヒット・メドレーもさることながら、オーケストラを配した豪勢なA Taste of Honeyのジャジーなカバーがイカしてます。
7.The Hollies「Evolution」(1967・英)
新年はニューイヤー駅伝……ではなくて懺悔からスタート。なんと、今までこのアルバムをきいてなかったんですね。アナログではなかなかないことと、CDもむかーし一気に出たときに、これだけ買い損ねたからかもしれません。その後の編集盤などで何曲か知ることはできましたが……。
手に入れたのはジャケ違いのドイツ盤(ステレオ)。普通のスナップでサイケ感ゼロです。ホリーズはさわやか系コーラスが売りでしたから、サイケに移行するのは難しかったかもしれません。それでも、飛び道具に頼らずサイケに仕上げている……さすがです。You need loveなんてすごくいい曲なんですけど、短い尺でスパッと切っている。ラフに録っただけなのかもしれませんが、これもまたホリーズらしい心意気です。
8.Jimi Hendrix Experience「Smash Hits」(1968・英)
アナログ時代のベスト盤はCD化の際、もっと曲を詰めた新しいコンピに押し出されます。その存在感たるや扇風機の弱で吹き飛ぶほど。こうなるのは、デジタル処理によりカタログの音が均一化されるためだと思われます。しかし、音がそれぞれ違うレコードのベスト盤の価値は下がりません。
この「Smash Hits」もバンドの中では最もポピュラーなベスト盤ですが、曲数は少ないし、シングル曲しかないんですね。それでもバリバリでバンドが存続している時に出た盤ですから、音は非常に良い。しかも手持ちはレアなモノラル盤てことで、シングルの音を体感できるんです。このバンドの太い音は、モノラルが一番しっくりきますね。ホントはBold as loveのモノが欲しいんですが、信じられない値段で出てます。
9.The Smiths「Hatful of Hollow」(1984・英)
10年ぶりくらいにスミスを聴き直したらすっかりハマりまして、もうこれは2014年で一番聴き込みました。
スミスをCDで聴くならば、輸入盤で出ている「Complete」というボックスが絶対にオススメ。全アルバム&編集盤が、これ以上ない再現度を誇る紙ジャケ(ステッカー、ポスターも!)で収められてます。値段も安いし、ライノてことで音もいい。このボックスを繰り返し聴いていたんですが、特に聴いたのは「実質セカンド・アルバム」とも言われる「Haful of Hollow」でした。これだけ一度も持ってなかったんです。
アルバム未収録のシングルやBBCライブ用の演奏を収録した編集盤。後ろ暗いイメージのスミスですがファンキーな曲も多く、リズムの具合いを聴くのもまた一興です(BBC向けの「This charming man」「Still ill」はどちらもベースの跳ねがよく聴こえます)。「Reel around the fountain」(なんつータイトル)もキーが高いのか、印象がだいぶ変わって聴こえるはず。ジョニー・マーのギターのコード感、色艶が一番の魅力ですか。今月来日するそうですね。
秋に聴き始めて、いまだに抜けられず聴き続けてます。まさにStill ill……「まだ病気!」てやつですね。
10.Tony Kosinec「Processes」(1969・米)
イギリス生まれですが、すぐにカナダに引っ越しそこからキャリアをスタートさせたそうです。
トニー・コジネクのアルバムは多分3枚だけ。ピーター・アッシャーがプロデュースしたセカンド「Bad Girl Songs」が最も有名でしょうか。
こちらのファーストは今年に入り初めて買ったもの。「Bad Girl songs」って一時期すげー高騰してたそうで、今では買える値段に落ち着いてますけど、このアルバムはよく見かける上にお安い。そんな売れたわけでもないだろうに。
アメリカ的な前衛作品にも近い印象を受けるほど、曲が複雑な印象を受けます。盛りに盛ったオーケストラの音もそう思わせる一因でしょうか。
あとはおまけ、というか全然更新してませんでしたから、2014年にこれはなかなか、と唸ったシングル、そして改めて聴き込んだアルバムを。
2014年初頭にも記事にしました、13th floor elevators「You're gonna miss me」のシングル。今まで聴いた中で、最強のシングルかもしれません。60年代のアメリカでいえばドアーズ「ハートに火をつけて」と双璧をなすんじゃないでしょうか。しかもドアーズの方は残念ながら間奏がカットされてますし。
「恋の弱味」。2014年はこれをめちゃくちゃ聞き返しました。筒美京平の世界!歯切れのいいイントロと、マーク・ボランなひろみ・ゴーの歌声!
久々にソウルのレコードも。スライがバンド結成前に自主レーベルをやってまして、そこから出たボビー・フリーマンのシングル「C'mon and Swim」。ワイでも分かる歌詞&のっけからテンションが高いですが、誰が弾いてるんだかギターが冴え渡ってます。全然難しいフレーズを弾かず単音を繰り返すだけ。それで押し切る、パンクにも通じる力強さったらたまりませんね。ソウルのシングルは当たりを引くとでかい。
ここからは聴き直しLP。ドイツNWの雄、ハレ・シャンブルグの名作ファーストです。再発されたレコードも持ってますが、あれはアナログの音がいまひとつ。しかしオリジナル盤が下北沢にあるという情報をつかんでわざわざ買いに行きました。段違いにいいですね。
サングラスをしていない頃のミッシェル・ポルナレフ。70年代後半の再発?オリジナルは高いぽいので致し方なしでしょうか。どの曲も日本人の琴線に触れるような哀愁バッチリ系。
何度となく聴いたアルバムですが、2014年は妙に繰り返しかけました。
自分にとってキンクス「ソープ・オペラ」は癒し効果があります。例えばさっき書いたボビーフリーマンのシングルはこれまた最高なんですが、あまりに世間離れしたテンションなんで、現実に引き戻される反動もものすごい。しかし、ソープ・オペラは我々の実存的な問題をテーマに据えているわけですから、聴き終わっても反動はさしてなく、癒やされているわけです。そういう意味ではキンクスとスミスってのは近親性があるのかもしれません。レイ・デイヴィスもスミスを褒めてたらしいですしね。
カモン ダーリン レッツ ハブ ディナーなんて歌詞で絶頂を迎えるアルバムは、今後も生まれないことでしょう。
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