前回の
「アメリカン・グラフィティ」に少しかかるというところで、
「さらば青春の光」で使用される音楽事情を・・・内容を覚えているうちに・・・(爆)。
「さらば青春の光」は、
The Whoのアルバム
「四重人格」を元に映画化された1979年のイギリス映画。監督は
フランク・ロッダム。
前回の「アメリカン・グラフィティ」がブリティッシュ・インベイジョン前夜を舞台にしたオールディーズ曲満開の作品だったのに対し、「さらば青春の光」はブリティッシュ・インベイジョン成し得た1960年代中頃のイギリスを舞台に、モッドなヒット曲と「四重人格」の収録曲が次々の絡んでいく構成。両者ともに青春映画としての側面を持っているものの、前者は過去に、後者は目の前に迫る現在の問題に目が向いているといった感じでしょうか。前者となる「アメリカン・グラフィティ」ではこれからヒットしようというビーチボーイズが否定される場面がありましたが、逆に後者となる「さらば青春の光」では、過去のヒットメーカーたちがモッズ精神を持つ若者の攻撃対象となっています。
オープニングではアルバムと同様、
「Real Me」が流れます。アルバムでは次の曲へのつなぎとともに途中で終わりますが、映画内では最後まで聞くことができます。
主人公はヒョロヒョロしたモッズ青年。そうとうな下町のモッズを描いたのか、綺羅びやかな恰好をしたモッズはそれほどでてきません。モッズの誰もが退屈でお金の入らない仕事に不平不満を言い合い、そのはけ口として週末に改造した単車で集まって遊びに行くってわけです。もちろん外出用の洋服の仕立ても忘れません。
そしてモッズと対立しているのが硬派なロッカーズで、主人公はロッカーズが
ジーン・ヴィンセントを鼻歌するのを阻止したり、ホームパーティでかかっていた
カスケーズのレコードを強引に下ろして
My Generationをかけるといった行動に出ます。最終的には、ノンフィクションでもある大抗争にまで発展した場面を描いているのでした。
映画内でかかるのは、
The Kinks「You Really Got Me」(鼻歌)やモータウン系のヒット曲などもありますが、ほとんどがThe Whoの曲。当時の曲は映画の中での小道具的な使われ方(テレビの中、レコードなど)といった感じで、サウンドトラックとして使われるのはあくまでも「四重人格」の曲です。
「ベルボーイ」がかかるところでは、モッズのカリスマとして出演している
スティングがベルボーイの仕事をするシーンが。
個人的な感想としては、ちょっと曲の溶け込みが悪いようなところもあって、すべて歌物というのが難しくしているのかもしれませんが、サウンドが流れると断絶されたシーンという風になりますね。そこが面白いところでもあるのですが。
映画の内容ですが、あるところで他の方の感想を見ると否定的なものも結構見ますね。特に多いのが主人公の子供っぽさだそうで、まったく感情移入する余地がないんだとか・・・。
僕としてもその意見はもっともで、主人公がどんどん不幸になっていくのは、自業自得な面がほとんどです。しかし、別に出演者に感情移入する必要性はないですし、むしろ突発的なカウンターカルチャーであったモッズに群がるのは子供っぽい精神が根底にある可能性が高いわけで、それが理由で本作がダメというのは尚早なのではと思います。むしろ、他のモッズが不良を自称しながらなんだかんだでうまく立ち回っているのが、モッズカルチャーに全てを捧げた主人公からしたらオカしいわけで、そうやって描くことで、瞬間風速的な偶像に自己同一性を預けることのはらむ危険性をも表しているのではないかと・・・。
ちなみに、当時からこの映画のサウンドトラックはレコードが出ていて、CDでも出ています。
Quadrophenia Trailer
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