総括しきれないほどのキャリアを積んだ人は、死ぬ間際にどんなことを考えるだろう。
デヴィッド・ボウイの50年近くに渡るアーティスト生活は、変化の連続。アンダーグラウンドなフォークシーンからヒットを飛ばして間を空けずに派手な化粧を施し、数年後にはベルリンから革新的なインストゥルメンタル音楽を届け、ちょっと休んだと思ったら今度はディスコサウンドで音楽界の頂点に。カメレオンと揶揄されるほどほかのミュージシャンには真似できないスタイルチェンジを見せ、その度に賞賛の絶叫と批判の怒号を受け止めてきた。創作意欲を常に高く保ち、各年代ごとに名作と言われるアルバムを生み出し続けた。ロックのアイコンとして生きてきた唯一無二の人生は、最期の目にどう映ったのか。
訃報のあとボウイのごく初期のアルバム「Space Oddity」を聴いた。歌声がいままで聴いてきたものと別ものに思える。ジョージ・ハリスンの時もそうだった。アンディ・ウォーホルは「死んだ人の歌は怖く感じる」と書いていたけども、ぼくも子どもの時からずっとそう考えていた。この声がこの世にもう存在しないと思うと、いつもより耳の奥底まで響く錯覚に陥る。
ちょうどレコードを整理している最中で、並べてみるとボウイは3、4番目くらいにレコードを持っていた。ヘヴィなリスナーとはいえないが、古いロックが好きな人ならば、ボウイのアルバムを1枚くらい持ってるんじゃないだろうか。それくらい普遍的な存在だと思う。
ぼくは映画「ラビリンス」での俳優・ボウイも好きだ。80年代の洋画を見ていると、若者の部屋にボウイのポスターが貼ってある場面をよく目にする。「レッツ・ダンス」が売れに売れていた時期なのだろうが、年をとっても影響力を持ち続ける彼のカリスマ性に感心していた。
新作「Blackstar」を発表した2日後に亡くなるなんて、誰も予想できない結末だった。彼の発表するアルバムがいつもそうであったように。彼の家族と友人たちにお悔やみを。
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