大御所映画会社が合同で展開している
「昭和キネマ横丁」てのがありまして、このシリーズの中にグループサウンズ主演映画がいくつあるんです。ってことで近所のレンタルショップで何回かに分けて借り、計9本すべてみました。そのラインナップは以下の通り。
☆ザ・タイガーズ
・世界はボクらを待っている
・華やかなる招待
・ハーイ!ロンドン
☆ザ・スパイダース
・ザ・スパイダースのゴーゴー向う見ず作戦
・ザ・スパイダースの大進撃
・ザ・スパイダースの大騒動
・ザ・スパイダースのバリ島珍道中
・にっぽん親不孝時代
☆ザ・テンプターズ
涙のあとに微笑みを
1960年代後半の作品群となっており、この中で初期作品にあたる「世界はボクらを待っている」や「ザ・スパイダースの大進撃」あたりは
「HELP!」の借用。とはいえ時期ごとに区切るよりも出演グループに分ける方が賢明のようです。というのは、各作品は出演グループのキャラクターを前提に作っているからです。ザ・タイガーズはビューティーで無欠な存在ゆえ、アイドルの王道を往くものとして。ザ・スパイダースは喜劇俳優の血を受け継ぐ堺正章を中心にコメディ色の強いものとして。ザ・テンプターズは繊細な若者として……。
ザ・タイガーズはどれも優等生すぎて映画としての面白さはあまり感じないですね。「ハーイ!ロンドン」は
岸部シロー加入後のもので、ご本人の異質な振舞い方がちょっとホラー。また、悪役で
藤田まことが登場。英語曲の吹き込みが多く、GSの終焉間近ムードが出てます。
ザ・スパイダースはほとんどが見応えある作品だと思います。
堺正章のテンションの高さはすごいですよ。
かまやつひろしの名曲がたくさん登場しますし、かわいい顔した大
野克夫もたまらん。単純明快な思いつきを元にした「ゴーゴー向う見ず作戦」、ウランを狙うギャングから逃げるべく女芸者バンドにすり替わる「バリ島珍道中」がオススメ。「ハーイ!ロンドン」とは比べものにならないほどの海外ガチロケ決行です。ただ「にっぽん親不孝時代」だけは本人たちが「ザ・スパイダース」を演じない唯一の作品で、ザ・タイガースの映画と同じ方が監督の模様。凡庸な青春映画となっています。
ザ・テンプターズは1作品だけですが、これがまた興味深い内容。グループサウンズ映画はビートルズ作品と同じく、現実のバンドが映画(虚構)の世界とクロスオーバーするというのが基本なんですが、ここでのザ・テンプターズの面々は
萩原健一を中心にメンバーが弱気でパッとしない学生を演じています。アニメーションの合成や、天国・超能力といった突飛な発想、若者の等身大を描くストーリー。こうしたサブカル色の強さが現代こそ受けるんじゃないか、って気がしますね。英国ブティック風なスーパーマーケットのデザインもユニーク。そして、劇中では自分の曲だけでなく
ピンキーとキラーズを歌い、
丸山明宏のマネをする……同時代の微妙にジャンルの異なる芸能を取り入れるあたり、まだ大衆芸能という言葉は生きていたってことで……。
本場イギリスもマージービートの映画がいろいろあるので、日本語字幕で見てみたいもんです。
にほんブログ村
バナーをクリックいただくと管理人にいいことが起こるそうです。
[3回]
PR