「亀渕昭信のロックンロール伝-ビートルズ以前、16歳の僕はドーナッツ盤に恋をした-」
著者:亀渕昭信
初版:2011年
発行:ヤマハミュージックメディア
ページ数:317
価格:1800円
読みやすさ
(文章) :★★★★★
(構成) :★★★☆☆
読みごたえ :★★★☆☆
初心者にも安心:★★★★★
マニアック :★★★★☆
オリジナリティ:★★★★★
オススメ度 :★★★★☆
著者の
亀渕昭信さんという方のお名前は、随分前にレココレか何かのインタビューで見た限りで、日本ラジオ界では非常に有名なDJだそうですが、僕はラジオをまったくといっていいほど聞いたことがないので、とんと知らないのでした。
と、実に失礼な出だしとなってしまいましたが、この本は亀渕さんご本人の体験も踏まえ、タイトル通りビートルズ以前のロックンロール(もちろん主な国はアメリカ)、C&W、ソウルなどの音楽やそれにまつわる逸話を紹介するというものです。
さすがラジオDJ、というべきなのか、まるで喋っているのを聞いてるような文体で、テンポ良く読める文章そのものの面白さ。やはり語り口が軽快です。ほのぼの。
副題にドーナッツ盤なんていうのがあるように(実はこの言葉を目当てに借りてきました)、はじめはSP盤~ドーナッツ盤が生まれるまでの流れについて書かれています。もともとフリーペーパーで連載されていたものだそうで、全体を通して時系列的に書かれているとかそういうわけではないのですが、やはりレコード史は興味深いもの。まだクラシックをレコードの主流として販売していた頃、LPを発明した
コロンビアとドーナッツ盤を完成させた
RCA、長い演奏のクラシックにとって都合が良かったのはLPなのですが、ロックンロールの誕生によってドーナッツ盤が巻き返すという図式があったそうで、自分なんかはてっきりドーナッツ盤の方がLPより先にできたものだと思っていたので驚きでした。そして音楽のタイプとレコードのタイプがうまくハマるかどうかなんてのも、大事だったんですね。
メインとなる音楽の紹介でも、やはりラジオやテレビ絡みの話が非常に多いです。名DJたちの紹介ももちろんですが、レコード業界とマスコミとの深い癒着、袖の下なんてのも明快に書かれていて、初めて知るようなことばかりです。そして、どれもがひとつの筋道としてつながっているような不思議。この世はショービジネスですね。
個人的に一番興味深かったのは、あまりページが割かれていませんでしたが、アメリカの音楽著作権の章でした。
ASCAP対BMI。この2つの言葉、レコードのレーベル面を見ていると実によく見かけます。なんとなく著作権団体の名前かな、とは思っていましたが、この両者が上り詰めてきた歴史の相違によって、見事に性格が違ってきた流れにはなるほど、です。これもまたラジオが深く関わってくるそうなのですが…。
と、構成としては多少トリビア的な面もありますが、実に愛情深く軽妙な文章で読み進められる感じでしょうか。ページはやや多いかもしれませんが、字も大きめですしすぐに読み終えることができると思います。清涼感の詰まった本でした。
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