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音楽
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マーク・ノップラー、ギター・マンの夢
著者:マイルス・パーマー
訳者:山本安見
大栄出版
1993年初版
全661ページ
定価:2,200円
読みやすさ
(文章) ★★★☆☆
(構成) ★★★☆☆
読みごたえ ★★★★☆
初心者にも安心★★★★☆
マニアック ★★★☆☆
オリジナリティ ★★★★☆
オススメ度: ★★★★☆
◎背表紙
日本も含め、世界中で売れまくったにも関わらず、80年代以降生まれにはまったく馴染みのないバンドの一つが
ダイアー・ストレイツなのですが、実際このグループ…というより、バンドの掌握者でもある
マーク・ノップラーは謎の多い人物だそうで、当時からインタビュー嫌いでも有名だったそうです。
言われてみれば、癖のある声や、ディストーションに頼らないながら表現力豊かなテクニカル・ギタリストであること以外、若いときから頭が後退していたことくらいしか知らない(爆) わけだったのですが、大栄出版のカルト・バイオ・シリーズより、こんな本が登場していたのです。なんとマーク・ノップラーの伝記本…ただし本人未承認。
当然著者としてはマークへの取材を試みたそうですが、本人からよい返事はもらえなかったそうで、彼の人生に関わってきた人物へのインタビューや、過去の記事からマークの半生を洗い出そう、と企画された本になってます。
しかし取材は難航をきわめたようで、どのインタビューを見ても、彼が自身の過去を語りたがらないらしく、ほとんど記録がなかったそうです。
そんなわけで、マークがダイアー・ストレイツとしてレコード・デビューするまでは、ほとんど彼の地元の友達や教師、同僚なんかからの証言で構成されている、ちょっと変わったスタイルになっています。
ダイアー・ストレイツとしてのデビュー・シングル
「悲しきサルタン」を聴いただけでも、なんとなくインテリジェンスなにおいを感じ取れたものですが、マークは英文学や美術にとても秀でていたそうで、有名誌の記者や大学教師といった異色の仕事を歴任してきた人物だそうです。
しかしそんな忙しいはずの仕事はそっちのけで、とにかく毎日毎日ギターの練習をしていたらしい。彼自身は当時流行りのロックも好きなものはあったけど、チェット・アトキンスやJJケールなどの名プレーヤーのレコードを好んで聴いていたそうで、そうした乾いた味わいがダイアー・ストレイツのサウンドにも現れたのでは…。
ダイアー・ストレイツ結成後もやはり本人のインタビューが少なく、関係者の証言に頼りがちで、バンドの人間関係やプライヴェートなことにはほとんどこの本では立ち入ることができなかったようです。各アルバムごとにチャプターはあるものの、ほとんどが権威ある音楽誌の当時の評論ばかりで埋められているのは残念。何よりも著者自身がダイアー・ストレイツの音楽性の変化にはさほど言及しておらず、関係者ごとによってまったく違うマークへの音楽的な、そして人間的な観点をまとめられていないので、読み終えたあとも腑に落ちないところが多々ありか。
それでも少ない情報の割りに分量もあるし、証言が多いので口語調で読みやすいというのはありがたい点かもしれません。マーク自身謎が多く、彼の生い立ちや当時の性格などを読み解く本は、国内では他にないだろうと思われるので、それで一点増デス。
個人的にはオリジナル・ドラマーである
ピック・ウィザーズのプレイが好きなので、彼について色々書かれていることを期待したのですが、ほとんどスルーだったのはいた仕方ないことか…(爆)
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