当然デュアン・オールマンもいるという、当分続くオリジナルの編成ですが、一曲目が意外なところからのカバー。イギリスのThe Spencer Davis Groupの「Don't Want You No more」。しかもバンドの看板だったスティーヴ・ウィンウッドが抜けた後のシングル。ブルースナンバーという意味では、オールマンが逆輸入してカバーしたとも取れるかも。
前のブログでもボウイは結構書いた気がしますが、このアルバムはまだのはず…いやはや個人的には1,2を争うほど好きな作品…といっても、不思議とこのアルバムのUK盤というのが欲しいのになかなか見つからなくて、あれば大した値段でもなさそうなもんなんですが、かなり長い間手にしてませんでした。ヒーローズもウチの近所ではあまり見かけないです。よく見るのはこのアルバムの一つ前のロジャー。それまではずっと国内盤で聴いてきたわけですが、ようやくオリジナル盤を手にしました。 中音にごっそり集め、篭った空間での音ながら音は細部までよく響く生っぽさがあって、いわゆるこれ以前のベルリン三部作に近い印象を持ちました。ただ、楽曲の指向性がそれまでとまったく異なり、メタリックなギターが展開されるので、受ける印象はそれまでとまるで違うという場合もあるかもしれません。実際、プロデューサーもバンドメンバーもまったくといっていいほど一緒なのに、ベルリン4部作とは言われないですね。83年の「レッツダンス」に挟まれ、宙ぶらりんな位置づけなのかもです。このボウイもそうだったんですが、海外レコードをウィキで見ると、一枚一枚のカテゴリーが違うことが多いので、面白いなぁと思ってます。このアルバムはpost punk, new waveとか書かれてますが、一つ前のロジャーはart rock, world musicと表記されているという…他のミュージシャンで調べているときも大抵こんなことがあります。自由に誰でも編集できる場ではありますが、英語圏の人々は細かなカテゴライズに意欲があるってことなんでしょうか。ヒーローズなんてkrautrockて書かれてるぞ。思い切ってます。
こんな長く書いてると読んでくれる人なんてそうそうおらんのでキリトリ線配置。そんなわけでオリジナル盤で聴くと、身体が震えるような素晴らしさを体感したというお話です。大袈裟だなライアー。と言われるかもしれませんが、このアルバムに関しては国内盤あまり良くないと思います。オリジナル盤を基準にすると、ボウイの意図した音とは程遠いのでは。とかはともかく、日本語の語りがイキナリ入るという「It's no game」で幕開けする本作、仰々しい語りに、日本人の我々からするとげんなりした人がいるかもしれませんが、異国の人になったつもりで「語感」をとらえるように聴くと、演劇性な語りに感じられて、こういうのも演劇に理解の深いボウイが細かく注文を付けた結果なのかも、という想像も。語りの内容は、ボウイが英語で歌っているのを直訳して喋っているんですが、特に詩的でもセンチメンタルでもない、あれま、という内容(爆) しかしこれもまたボウイらしさ。