元々、ブルース・セッションを中心としていたバンド、
モビー・グレイプの二枚組セカンド・アルバム
「Wow/Grape Jam」(1968)に収録されていたものですが、翌年にはそこから切り離し単体で発売されている、バンドのセッションを収めたアルバムです。
わずか5曲収録、ということで長尺なセッションを中心に組まれてますが、
マイク・オールドフィールドと
アル・クーパーがそれぞれ別の曲でピアノで参加。同レーベル(コロンビア)という関連性もあったのかもしれません。
トム・ヴァーレインも好きなバンドの一つに挙げているモビー・グレイプ。一見、両者の間にサウンドの共通項は見られないように思いますが、恐らくあるとすれば、モビー・グレイプの気の抜けたような演奏の中で飛び出す自然かつルーズなフレーズの数々で、テレヴィジョンではそれを意識的に目に見える形で示し、ソロとなってからはその方向性も含め独自の路線を確立している感があります。
そんなわけで泥系サウンドのはずのモビー・グレイプが意外なところに影響を及ぼしているようで、そういえば
モノクローム・セットのビドも好きなバンドに
クイックシルバー・メッセンジャー・サービスを挙げるなど、サンフランシスコの音楽が表層的な面以外でもって面白い捉え方をされているみたい…
モビー・グレイプのこのアルバムはセッション作ということで、特にルーズな演奏が続くんですが、浮遊感やサイケという言葉もどこか違う、堕落したようなルーズさで、神経を尖らせない独特な雰囲気の前に、ゲスト参加した名手のクーパーやブルームフィールドも、手数で目立つのが精一杯、という印象。待望のスターとして大型契約しながら、このダルさでいこうという、植木等も驚きの無責任バンドぶりですが、こうした自然的な空気で胸を張るバンドが存在していなければ、その後の感性鋭いミュージシャンたちが生まれるのも危ぶまれたのかもしれない、と考えるとモビー・グレイプは実に貴重なバンドですし、彼らの摩訶不思議なフレーズの数々は時代を超えて生き残るのでは。
レーベルは目が一周してる70年代の再発盤。
Black Currant Jam
~以下、余談など~
月が激接近した瞬間を撮りました。一眼ですらない大したカメラじゃないのでこんな写真で申し訳ないですが…。周りの雲を煌々と照らす明るさに驚きました。
夜の計画停電に備え、ブクオフにて買ってきた手塚治虫の漫画「メトロポリス」を停電中に読んでいたところの最後の一コマ。太陽の黒点が増殖し、そこから発せられる放射線の影響で生まれた人造人間が自分の出自を呪い、メトロポリスを破壊する、というストーリー。原発問題で揺れ動き、その影響で停電中のさ中読みドキリとする話でした。最後は
「おそらく いつかは 人間も発達しすぎた科学のために かえって 自分を滅ぼしてしまうのでは ないだろうか?」
という締めくくり。戦後からわずか4年後の昭和24年に発表されたこの作品。まだ現場では懸命の作業が続いていますが、この現状が一度収束したとしても、疑いや検証、それに反芻といった行為を、原子力問題に限らず、何事にも、自分の余裕のある範囲でいいので、色々な面から考え、思いを巡らすことが重要だと改めて感じました。
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