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4番、サード、いたち野郎

千葉ロックマリーンズ
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書籍 「マーク・ノップラー、ギター・マンの夢」 by Myles Palmer

JUGEMテーマ:音楽 

※画像をクリックすると拡大して見られます


マーク・ノップラー、ギター・マンの夢

著者:マイルス・パーマー
訳者:山本安見
大栄出版
1993年初版

全661ページ
定価:2,200円

読みやすさ
(文章)      ★★★☆☆
(構成)      ★★★☆☆
読みごたえ   ★★★★☆
初心者にも安心★★★★☆
マニアック    ★★★☆☆
オリジナリティ  ★★★★☆

オススメ度:   ★★★★☆


◎背表紙

日本も含め、世界中で売れまくったにも関わらず、80年代以降生まれにはまったく馴染みのないバンドの一つがダイアー・ストレイツなのですが、実際このグループ…というより、バンドの掌握者でもあるマーク・ノップラーは謎の多い人物だそうで、当時からインタビュー嫌いでも有名だったそうです。
言われてみれば、癖のある声や、ディストーションに頼らないながら表現力豊かなテクニカル・ギタリストであること以外、若いときから頭が後退していたことくらいしか知らない(爆) わけだったのですが、大栄出版のカルト・バイオ・シリーズより、こんな本が登場していたのです。なんとマーク・ノップラーの伝記本…ただし本人未承認。

当然著者としてはマークへの取材を試みたそうですが、本人からよい返事はもらえなかったそうで、彼の人生に関わってきた人物へのインタビューや、過去の記事からマークの半生を洗い出そう、と企画された本になってます。

しかし取材は難航をきわめたようで、どのインタビューを見ても、彼が自身の過去を語りたがらないらしく、ほとんど記録がなかったそうです。
そんなわけで、マークがダイアー・ストレイツとしてレコード・デビューするまでは、ほとんど彼の地元の友達や教師、同僚なんかからの証言で構成されている、ちょっと変わったスタイルになっています。

ダイアー・ストレイツとしてのデビュー・シングル「悲しきサルタン」を聴いただけでも、なんとなくインテリジェンスなにおいを感じ取れたものですが、マークは英文学や美術にとても秀でていたそうで、有名誌の記者や大学教師といった異色の仕事を歴任してきた人物だそうです。
しかしそんな忙しいはずの仕事はそっちのけで、とにかく毎日毎日ギターの練習をしていたらしい。彼自身は当時流行りのロックも好きなものはあったけど、チェット・アトキンスやJJケールなどの名プレーヤーのレコードを好んで聴いていたそうで、そうした乾いた味わいがダイアー・ストレイツのサウンドにも現れたのでは…。

ダイアー・ストレイツ結成後もやはり本人のインタビューが少なく、関係者の証言に頼りがちで、バンドの人間関係やプライヴェートなことにはほとんどこの本では立ち入ることができなかったようです。各アルバムごとにチャプターはあるものの、ほとんどが権威ある音楽誌の当時の評論ばかりで埋められているのは残念。何よりも著者自身がダイアー・ストレイツの音楽性の変化にはさほど言及しておらず、関係者ごとによってまったく違うマークへの音楽的な、そして人間的な観点をまとめられていないので、読み終えたあとも腑に落ちないところが多々ありか。

それでも少ない情報の割りに分量もあるし、証言が多いので口語調で読みやすいというのはありがたい点かもしれません。マーク自身謎が多く、彼の生い立ちや当時の性格などを読み解く本は、国内では他にないだろうと思われるので、それで一点増デス。

個人的にはオリジナル・ドラマーであるピック・ウィザーズのプレイが好きなので、彼について色々書かれていることを期待したのですが、ほとんどスルーだったのはいた仕方ないことか…(爆)

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書籍 クロニクル・シリーズ「ブリティッシュ・ビート」

JUGEMテーマ:音楽 
珍しく風邪をひいてダウンしとりました。あたまが、真っ白になって…(略) て感じだったでしょうか。

タイトル:クロニクル・シリーズ「ブリティッシュ・ビート」
著者:小松崎健郎
発行元:シンコー・ミュージック・エンタテイメント
初版:2008年5月18日

読みやすさ
(文章)      ★★★☆☆
(構成)      ★★★★☆
読みごたえ    ★★★☆☆
初心者にも安心 ★★★★☆
マニアック    ★★★☆☆
オリジナリティ  ★★☆☆☆

オススメ度:
★★★☆☆

去年発売された本なのですが、発売予定から半年ほどずれ込んでの発売となった記憶があります。ネットで予約しておいて、忘れた頃に届きましたからね~。

中身というと、タイトル通りブリティッシュ・ビートを総括的に書き出したものとなっていて、ストリームごとのトピックの中で幾多ものバンドを紹介しているのが主な内容というとこでしょうか。 もちろん年月の流れに沿ってブリティッシュ・ビートがどのように変化、多様化したかについても書かれていて、その辺りを知るには絶好の本だと思います。アマゾンの写真には写っていないですが、帯に使われた写真がキンクスというのも嬉しいですね。

しかし「クロニクル・シリーズ」という言葉が示すとおりなのか、これといって目新しいインタビューなどがあったわけではなく、シンコーでの過去の資料を焼き増した、というのが本当のところだと思います。「フィル・メイ、レイ・デイヴィス、デイヴ・クラークらのインタビューを掲載!」という触れ込みに惹かれて買ったのに、どれも過去のインタビューで、読んだことがあるのばかりだったのはヒジョーに残念。
こうした過去のインタビューとともに、トリビアなどの蛇足的なトピックが後半に多いのはちょっと辛いところで、この辺りはブリティッシュ・ビートという狭い枠組みで本を書くことの難しさを逆に露呈しているようなところを感じました…。
普段から、小松崎氏が監修、ライナーも書いているブリティッシュ・ビートのCDを買っている方々が読むと、同じものを読まされるような感覚になってしまうかも…。 でも、初めてこのジャンルに関する本にとっかかるには、読みやすいし珍しい写真も多いのでオススメです。

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書籍 「日本ロック雑誌クロニクル」&ロック雑誌の将来は…


JUGEMテーマ:音楽
 
ロック本のカテゴリを持つブログもほとんどないみたいで、いい加減に書いてますが実は責任が重いのかも、とか思いつつあるのですが…
色々なロック関連書籍というのが日本ではかなり出版されていると思うのですが、一つ一つがよくも悪くも印象に残るというものです。今回はちょっと批判ばかりでいこうかと…好きなのばかり取り上げていると関係者に思われるかもしれないですから(笑)



タイトル:日本ロック雑誌クロニクル
著者:篠原章
出版社:太田出版
内容:ミュージック・ライフ(ML)
    ニュー・ミュージック・マガジン(NMM)
    宝島
    ロッキング・オン(RO) など

読みやすさ
(文章)     
★★★☆☆
(構成)     ★★★☆☆
読みごたえ   ★★☆☆☆
初心者にも安心★★★☆☆
マニアック   
 ★★☆☆☆
オリジナリティ 
★★★☆☆

オススメ度:★★☆☆☆

今まで満点とかだったのが突然底辺近辺て…もう気分屋ですから…すいません。
アマゾンで見るとカスタマーレビューが複数あって、平均でかなり評価が高かったです。
自分のロック雑誌体験なんていっても、物心ついたときにはロック人気なぞすっかり撤退した後で、もはや焼け野原状態だったわけで、周りのロックファンの連中でも雑誌を買っている人は稀でしたね…やはり僕もずっと書籍一辺倒で、初めて買った雑誌はレコード・コレクターズ「ジョージ・マーティンとビートルズ」という特集だったということを今でも覚えています。多分10年も前の話ではないと思います。そのときは頭脳警察なんてのに興味を持った頃で、ちょうどこの号の第三特集あたりが頭脳警察だったので(ファーストのCD化)、それで買ったんじゃないかと思います。

そんな僕ですから過去のロック雑誌の影響力とか変遷なんてものをまったく知らなかったところに数年前コレを見つけた、というのが本書を読んだ経緯です。
この本は5~6くらいのパートに分かれていて、それぞれミュージック・ライフニュー・ミュージック・マガジン…など、雑誌ごとにパート分けをしています。そのなかの半分以上は「クイック・ジャパン」という雑誌で連載されていたものが掲載されているそうです。著者の方は経済学の先生で、書いた当時は大学で教鞭をとっていたそうです。

自分が今まで読んできた限りの経験だと…大学で授業をやっているような人が書いたロック本の七割くらいは評価薄(爆)です。僕の研究室の先生も実は何を思ったのかロック本を一冊出しているのですが、そっちはずっと面白いです。今度紹介しますね(笑)

大抵学者の書いたロック本というのは、根拠と理論を重んじた文構成になりますから…それは論文の一部を抜粋したりして出されたものが多いからなんだと思います。
しかし本著は、サブカル雑誌に連載されていたもののせいか、読みやすさと根拠の積み重ね、どっちつかずな印象を受けました。僕としては丁寧に書かれていれば別に読みづらくてもいいんですが、結論に持っていくサンプルのつなげ方がこれでいいのかな、という疑問のつくものばかりでした。インタビューが内容の大半を占めていますが(渋谷陽一のみ断ったそうです。ムカツク笑!)

一つ一つの雑誌の成り立ち…倒産寸前の出版社から、脱サラしてライターを志してから、ミニコミから初めてから…といった各々の出発の経緯、絶頂を迎えたときのポイント、そして発行部数減という衰退の理由など、年表のようにスラスラ追えるところは良かったのですが、でも「目からウロコ」といったような関心を呼ぶようなものもなかったし、「何を改めて今更…」と思ったのが正直なところです。というのも、リアルタイムでも後追いでもそれらの雑誌を読んだことがまったくない自分でも「まぁそうだろうな」と予想できるような観測しかされていなかったということでして…
たしかにシンコーの雑誌を買っていればミュージック・ライフの話は今でもよく出てきますし、中村とうようや渋谷陽一も業界でご健在ですから、そりゃある程度情報は知ってるだろ、と言われればそれまでなのですが…
僕が一番期待したのは、60年代や70年代に洋楽ロックが日本で注目を集めていた時代に、各雑誌がそれぞれどういった格式を持っていたのか…その時代から見た「雰囲気」を知りたかったわけです。 たしかに同じ時代においてNMMは分析でありROは精神で、二つは対立をなしていた…なんてことは書かれているのですが、先ほど述べたように、それはまだ現役の両者の仕事ぶりを知っていれば分かることなので、本当に自分の知っていること、予想できたこと以上のことは書かれていなかった、という感じです。ロックはいくら数値化されたデータが集まっても、結局のところ分かることは本当に少ないですよね。すでに形骸化されたといわれていても、いつまでもロックという言葉は現在進行形で謳われている…

こんなことを書くとまるで渋谷先生のようですが(笑) 名前を見ただけで虫が好かなくなる三大文化人=村上龍、和久井光司、渋谷陽一 ですから…(爆) 三人に共通するのは…ユーモアがない上に自分本意での視点でしか説教できない…そんな印象です。お陰でいいことを言っていてもついつい見逃してしまう(爆)  僕の中で渋谷陽一という人は、自分のプライドの保持のためなら詭弁をいくらでも使う、そんな人だと思ってます。中村とうようとの論争も有名ですが、ああした態度を引っ張った結果、最近大変な事件を生んでしまったようです。ここでは詳しく書かないですが、詳細のあるリンクを貼っておきます。なRO主催のライヴフェスティバルに関することです。

http://narinari.com/Nd/2008069545.html
結果↓
http://www.2nn.jp/mnewsplus/1212377283/

以前から思っていたことが本著でもズバリ書かれていたのですが、ROへの批判として著者は「ロックは思想だ、という押し付けをし、ロックを逆に型にはめることになってしまった」とありました。僕と同世代や下の話に限れば、この「思想」というある種妄想の型にハマった聴き方をしている人が周りに随分います。それはRO読者に限らずですが。もちろん聴き方に強制はできないけれども、思想なんていう高尚な言葉になんとなくクリスタル状態に陥り、根拠の薄い共感や排除をいともたやすくしてしまう状況が築かれていると思うんです。



ついでなのでもう一つ。本著でもロック雑誌の売上減による衰退について若干書いてありましたが、結局はいかにも…というまとめ方をしてはぐらかされた記憶があります…。
自分なりに今の状況を踏まえて考えること…。上のリンクを貼った件から言えることですが、わずか10数年前にこの件以上に大騒ぎさせた中村とうようとの言い争いと質的には近いことをこの年にもしてしたのですが、なぜ渋谷自身が謝罪をしなければならない事態にまで達したのか…これは明らかにインターネットの影響ですよね。逆に言えば、あの論争のときに今のようにインターネットが普及していたらどうなったか…二人による争いでしたから、ネットユーザーはどちらかの味方についてネットというテーブルで言いたい放題、自分のカードをぽいと置いて行ってしまうでしょう。ただ、その数が増えて徐々にどちらの方が支持が多いか、ということを皆が知り始めると、劣勢の方への攻撃が突如強まります。 当時は各誌上で言い争いがあり、お互いの誌で自分の都合がいいように取りまとめた結果となりましたが、ネットがあればそんな言い争いすら長くは許されないでしょう。書簡がせいぜい2往復もすれば会社の読者意見箱はパンパンでしょう(笑)

今までは自分の雑誌の中で自分の強烈なセンスに則って書いて、ある程度の支持を集め、あとは家族経営でのほほん、マスコミに入りたいヤツなんざいくらでもいるから、コネでいいよね、で済んでいたはずが、ネットの中では口コミの速さが尋常ではありません。明らかに内容がおかしければそう感じた人はネットに書いて、それに「実は私も…」と共感した人が作るサークルは、元々の支持者にも再考を促すほど強力なメッセージを持つことがあります。
あの雑誌社はコネのあるレーベルからのアルバムしか評価しない、コネ採用で能力のある社員は追い出される、自浄能力がない…嘘か誠かも分からない情報が、ネットを見る人たちには新鮮な情報として刷り込まれていきます。そうしたネット上らしい「希薄な根拠による噂」や「閉鎖的ゆえ真っ当に批判される企業構造の改革」…「読者以外の読者」という新しい敵に有無を言わせない雑誌作り…お先真っ暗な日本ロック雑誌はどういう変貌を見せるのでしょうか… あ、自分の結論もはぐらかしになりました(大爆)

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書籍「ロックの伝道者―インタビュー集―」

JUGEMテーマ:音楽 
土曜日はロック好きな同級生らと飲んでいたのですが、その席で「いたち君のブログは気持ち悪いくらいマジメだよね。普段は悪ノリしかしないのに…」と言われたのですが、恐らくその通りです(爆) しかしそれはリアルでは喋り方など冗談が過ぎるということで、ブログで書いている中身やコメントについては実直だよね、ということで落ち着きました。素面はイメージと180度違うとよく言われます…そう、まるであの映画の主人公のように…↓

先日書いたバトンの中の好きな映画で「シャイニング」と書きましたが、有名なこのシーンが好きなんです。

※画像をクリックすると拡大して見られます

奥様の表情がいいですね。今出ているDVDには当時の出演者のインタビュー映像があるのですが、映画で主演級を張る子役が「僕はその辺の子どもと違って天才だから…」とめちゃくちゃ生意気なんですよ(笑)

さてさて、本日は書評第三弾ということで…前回までの二冊はキンクス関連でしたが、今回はかなりマクロなロック本で…

「ロックの伝道者―インタビュー集―」
シンコーミュージック
1992年初版

読みやすさ
(文章)     ★★★★★
(構成)     ★★★★★
読みごたえ   ★★★★★
初心者にも安心★★★★★
マニアック   ★★★★☆
オリジナリティ ★★★☆☆

オススメ度:
★★★★★

※画像をクリックすると拡大して見られます


この本は「ミュージック・ライフ」に掲載されたインタビューをまとめた単行本「ロック・アーティスト・インタビュー集」(1973)の中から13篇を選び文庫化したものになります。13組のアーティストによるインタビューでほぼ全てを占める、純粋なインタビュー集。

なんといっても文庫本なのが嬉しい。おかげで定価600円、まぁまぁ安価。それと評論家の言葉より何千倍と貴重なアーティスト本人の発言が数々載っているということで、結構重宝するんではないでしょうか。
インタビュー集というのも数あると思いますが、そうした本の中でもこれが特に良かったな、と思う点がいくつかあります。
一つ目はロック・アーティストの中でも王道中の王道、流行に終わらず未だに多くの支持を集めるアーティストのインタビューばかりということ。60年代後半から70年代頭、ミュージック・ライフ的に言えば「ニューロック」なんて呼ばれた連中がほとんどです。
二つ目は、インタビューそのものがメンバーの絶好調期にされたものであること。インタビューというと、大抵は皆さん落ち着いた年令の頃にされたものが多くて、思い出話に花を咲かせ、マネージャーや当時の相棒の悪口をジリジリ…記憶もあやふや…年のせいかしら(爆) なんてのを多く目にしますが、この本に載っているのはミュージック・ライフ誌に当時載ったものばかりですから、まさに旬の頃に届けられた声が密封されているわけです。
そして三つ目は、13篇のインタビューを年代順に掲載しているということ。好きなアーティストのインタビューだけを見ることもできますが、これら13篇を順に追えることで、アーティストの心象や、彼らが興味あることの推移を感じることができると思います。全て通して読まれることを強くオススメします。

掲載されているアーティストは、以下の方々。

ジミ・ヘンドリクス
エリック・クラプトン
ジョン・メイオール
ミック・ジャガー
レッド・ゼッペリン
エマーソン、レイク&パーマー
CCR
ステッペン・スティルス
エルトン・ジョン
ロッド・シュツアート
マーク・ボラン
ポール・マッカートニー
ジョン・レノン
(掲載順。1969~73年)

ミュージック・ライフなんだからビートルズのインタビュー載せてくれても…と思ったのですが、たわいもない話ばかりだったせいでしょうか?ここでは見送られたみたいです。星加ルミ子さんが恐らくイヤイヤ編集長やってた時期ですね~(笑) アーティストの抽出にテーマがないのではないか、とも思いますが、その雑多さも含めて「時代を追える」ということでもあるんじゃないかと思います。後づけで語られる「ジャンル」でアーティストを抽出してしまうと、それこそアーティスト同士がつながっていた数珠の紐を見失うことになりますから…。

最初に載るジミヘン、クラプトン、ジョンの三人は本当にブルースの信奉者という感じで、「我々は若い人たちにブルースを知ってもらうために演奏してます」なんてノリなんですよね。自分がどう偉いかなんて一言も言わない。自分が何が好きで何が嫌いか、というのをたくさん話してた印象でした。
それが時代を経てブルース・ロック自体が下火になってくると、ストーンズツェッペリンはブルースからの影響について少し濁した表現をしていたと思います。 他でよく記憶にあるのはCCRの連中はひたすらビートルズを讃えていたこと(自分たちがアメリカでビッグバンドになっても喜べないのは、ビートルズが解散してしまったから…)や、ロッド・シュツアートが自身が在籍していた伝説かつ幻のグループ「スティーム・バケット」でのブライアン・オーガーのやり方をこき下ろしていたり、ジェフ・ベックとの共同作業がうまくいかず、彼のやり方は理解できない、とか言っていたことでしょうか…。

そんな一つ一つのエピソードやアーティスト同士のいさかい話も興味深いのですが、何よりも彼らが当時どういった方向性を至高と信じて音楽活動をしていたか、というのが一番ですね。年をとったあとからなら「あれは失敗だった、若かったし」と幾らでも言えるんですが、そのときの時代性を背景に自身の中で確信めいたやり方があったはずですから…。

最後にこの本で好きなのは、アーティストが話す語調が丁寧語なのが多いことです。最近だと古臭い不良言葉みたいな訳ばかりで、ちょっと胡散臭いなぁ、ダサいなぁ、と思うんですが、ジミヘンとかCCRは、日本人へのインタビューでは敬語で話してそうだなぁ、そっちの方が面白いしなぁ、と思っていたので(笑) でも当時のゼッペリンの人たちが敬語使って話してたら気持ち悪いかも…


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「エックス・レイ」 by Ray Davies

JUGEMテーマ:音楽
 

昨日は久しぶりに秋葉原へ出かけてみました。リンク先のゑんつさんの情報で100円レコセールをやっているという情報を得たもので…
早速二人で行ってみますと、とんでもない量のレコの山…「ワケあり品放出」ってわけで、ジャケなしはもちろん、ジャケだけ(爆) なんてのもありましたが、洋・邦、ジャンル問わずとにかく凄い量でした。こないだエントリーした「劇場版 銀河鉄道999」のサントラがいきなりあったので(爆) 拾いました。時間城が崩れるトコの曲がいいな、と思っていたのですが、ようやく本日聴くことができました。

これだけあれば場違いな盤が一枚くらいは…と探していると、早速キター



※画像をクリックすると拡大して見られます。

デイヴ・クラークを中心に作成したらしいミュージカル「Time」の主題曲の12インチ・シングルUK盤。クイーンアイテムの中でも必然性がかなり低いので案外見かけない?とにもかくにもこの曲がデイヴ・クラークらが作曲したものをフレディ・マーキュリーが歌ったという豪華共演。プロデュースもデイヴ・クラークです。一部CDではこの曲を聴けるのですが、CD未収録と思われる「エクステンデッドver」「インストゥメンタルver」も聴けるということで…初体験な「Time」別バージョンでした。


※画像をクリックすると拡大して見られます。

本田美奈子の12インチシングル「クレイジー・ナイツ」ですが、これも隠れたクイーン・アイテムという…なんとブライアン・メイによるプロデュース(!)なんですね。

その他諸々も合わせて7枚購入。アリスがアルバム違いで沢山あったので買おうか迷ったんですが…今更後悔。

その後ゑんつさんのもう一つの目的であった、真空管アンプの専門店へ同行。リスニング・ルームにて、いやー未体験な音、凄いですね、と値段を見たところ、30年先まで手が出なそうだったので忘れることにする(爆)


…そんなわけで未聴なレコが家にたくさんあると日々楽しいわけですが、レコード聴きながらロック本読むのもまた乙なものですよね、というわけで地味にスタートした新コーナー第二弾でーす。



※画像をクリックすると拡大して見られます。

タイトル「エックス・レイ」
著者 レイ・デイヴィス(キンクス)
1996年初版
TOKYO FM出版

読みやすさ
(文章)     ★★☆☆☆
(構成)     ★★★☆☆
読みごたえ  ★★★★★
初心者にも安心★★☆☆☆
マニアック   ★★★★★
オリジナリティ ★★★★★

オススメ度:  ★★★★☆



前回書いた「ザ・キンクス-ひねくれものの肖像」との比較という形でこちらを取り上げてみました…。

キンクスレイ・デイヴィス自身が書き下ろした自伝。しかし架空の物語を舞台にした小説風に作り上げられています。
主人公は「コーポレーション」に入社したばかりの若き男性社員。彼は会社からの命令で、「レイ・デイヴィス」という過去のロック・スターに会いに行き、インタビューを通じて彼に関するデータを集める。しかし、レイの話を聞いていくうち、主人公は親近感を持つようになり、彼の生い立ち、そして自分を派遣させた「コーポレーション」の本当の目的に気づき始める…

小説といっても、ほとんど小説の中の「レイ・デイヴィス」がベラベラ話す思い出話のような感じで、物語の展開そのものはあまり期待しない方がよいと思います。ただ、これは著者であるレイが、自分の中にいる二人の自分との対話によって(つまり主人公もレイ自身の投影)、レイ・デイヴィスという人格を明確にしていこう、という手法を選んだためで、物語の設定そのものは副次的なものなんじゃないかと思います。

前回紹介した「ひねくれものの肖像」が全時代を通したバイオ本だったのに対し「エックス・レイ」は自身の生い立ちからおよそ「ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサイエティ」まで。その後「この世はすべてショウ・ビジネス」までもわずかに書かれていますが、本著の中でベースのピート・クウェイフが脱退した「ヴィレッジ・グリーン」によって「このときにキンクスは終わった」と言っているので、彼にとってのキンクスの物語とは、一旦ここで幕を下ろすのでしょう。

「ひねくれもの…」と同じく、この時期についてはラリー・ペイジとの法廷闘争について多くの言及があります。それ以外にも、楽屋やライヴ後のどんちゃん騒ぎ、他のミュージシャンらとの交流とか、そういった打ち明け話も楽しいわけですが、そうした一連の出来事の多くが、彼の持つ体制やシステムといったものへの懐疑的な視点から紹介されているといった感じがします、というより、当時から彼は懐疑の目で物事を捉えていたんだな、ということへの裏返しにもなりそうなのですが…
自分の書いた曲が他の出版社に所有され、自分がもてないことへの矛盾に怒り狂っていたはずが、いつしか「アーサー」のテレビドラマ版を作る際、自分はテレビ局(グラナダ)に作品を売ってしまった、なんてことも書かれていて、成功を掴むということは、何らかの妥協も必要で大変なんだなぁと…
ただ、そうしたシステムを通じなくても自分の作った曲が認められた、なんて場面もあったようで、「ユー・リアリー・ガット・ミー」を発売する前に、ビートルズも一緒だったステージ上でこの曲を演奏すると、オーディエンスの反応がとにかく物凄かったとか、自分の曲への愛着の強さも強調して書かれていました。他では「ウォータールー・サンセット」「サニー・アフタヌーン」も…。

しかし、客観的に考えて、ちょっと変だな、と思うのは、「ひねくれもの…」で描かれていたレイの悪態(特にアメリカツアーでの)の多くが書いていなかったこと。前者では、マネージャーのラリー・ペイジが、レイのワガママやカンシャクに参ってしまい、自分だけ帰国しマネージャーを辞めた、とありましたが、この本では「なぜかある日ペイジがいなくなっていた」と書くほどの差異(爆) 当時彼は物凄い神経衰弱だったようなので、そのときの感じ方も第三者とはまったく違うとは思うのですが、これだけ読んだ場合にはちょっとバンドに対する誤解を生みそうです。 バンド内部のことはサラリといった感じで、自分を取り巻く人々…キンクスを使って金儲けしたい連中、上流階級の社交場の連中、家族、そして彼を支え続けた多くの女性…アイドルとしてのレイではなく、人間一個人としてのレイから、多くの人々との体験談が描かれている、という感じでしょうか…。

評価を惜しくも満点にできなかったのは、やたら誤字・脱字・変換ミスが多いこと(大爆) それと、ちょっと読み辛い、展開の分かりづらだなんてとこがあるでしょうか。レイの狙った「対話法」での表現、これも個人的にはなかなかクセモノで、難解で理解が難しいところがあります。それはむしろ、色々想像することができて楽しいところでもあるのですが。

もしキンクスについての本を読んでみたい、という方がいらっしゃいましたら、この本だけでなく、「ひねくれものの肖像」と合わせてお読みになることをオススメいたします。


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