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4番、サード、いたち野郎

千葉ロックマリーンズ
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色々と感化されたDavid Bowie「Pin ups」


David Bowie「Pin ups」(1973)

国内盤をずっと持っていましたが、UK盤で安く見つけたので買い直しです。

高校生くらいの頃にこれを聞いて、あらゆる意味で大きな影響を受けました。これまで聞いた中で、上位10枚に入るくらいの影響力だと自分で思います。この60年代カバー曲集を聞いて、元ネタとなる曲探しに明け暮れたことや(まだネットはダイヤルアップだった頃で、情報はネットよりも本が頼りでした)、カバー曲集なのに全英1位を記録したという人気ぶりにも不思議な感覚を覚えました。カバー集がアルバム・カタログの位置づけになること自体が不思議。これまでずっと自分で曲を作ってきた人が? という。

聞いた当時は収録曲の半分近くは知らないものばかりでしたが、後からシングル盤で手に入れたりしているうちに、実は大抵の曲はイギリスでそこそこ売れていた、ということに気づきました。Merseys「Sorrow」は全英4位、Mojo's「Everything's Alright」も9位となかなかの健闘(この2枚のシングル盤を見つけて原曲を聞いた時の感動たるや)。他「Friday on my mind」「Rosalyn」「Shapes of things」などはそれ以上に知名度の高い曲、のハズ。 そう考えると、どれもイギリス人に馴染みのある曲、とは言い過ぎかもしれませんが、ある程度知られた楽曲を選んでいたように思います。ヒット曲ばかりとはいえ、選ばれた曲はおしなべて強烈。これぞボウイの鋭い嗅覚。曲選びからして大成功ですね。素晴らしきマニフェスト・・・。 自分自身、このアルバムを聞くことがなければ、今ほど60年代の音楽に傾倒していないでしょう、というほど首を突っ込んでいるわけでもないのですが、日本でメジャーとされる曲以外にも、アルバムを出していないようなマイナー・グループの曲でも、いいものがあるのだなぁ、と実感いたしました。

この頃にカバー集を出したのにはどんな意味があったんでしょう? 国内盤のライナーにはそこんとこは触れられていなかったような(ジャケの詮索で紙面使っていた記憶)。一応ジギーから連なるストーリーがあるのでしょうか。
いやはや、「See Emily Play」のサビでのコーラスはおぞましい。


David Bowie「Everything's Alright(Live 1973)」



The Mojos「Everything's Alright(1964)」







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Supersister 「Present From Nancy」



Supersister「Present From Nancy」(1970) オランダ

普段行かない土地のレコード屋を見ると、意外なラインアップ、傾向なのを見て小躍りするなんてこともありまして、とあるDeNA魂を感じる地方にあったチェーン店では、欧州のプログレと仕切られたレコードの枚数がなかなかのボリュームでした。
その中には、レコードで探していたSupersisterのファーストも。まぁオリジナルではないみたいですが、近年の盤というわけでもなさそう。多分late70~80くらいじゃないでしょうか。










インナースリーヴまであるとはラッキー。オランダ盤らしいです。

「オランダのソフトマシーン」と呼ばれるようですが、ソフトマシーンの中でも初期2枚に近い印象です。ほどよいシリアスさと毒のあるユーモアを、高レベルな演奏で駆け巡っていく独特なサウンド。ギターレスで、ファズの効いたオルガンやフルートがめまぐるしく騒ぎ立てるというのは今の耳でも十分新鮮でしょう。当時のシングル曲では、エルヴィス・プレスリー風の楽曲を演るなど、徹底した遊び心を持っています。

しかしちょいと調べたら、このバンドの日本版ウィキがそこそこ詳しく書かれているのに驚いた…。英語版より詳細に書かれているかも。

当時の超貴重なライヴ映像と、近年の再結成ライヴで。



Mexico/Wow 1971 Live


Present from Nancy live video at Amsterdam






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書籍 「ビートルズ日本盤よ、永遠に」



「ビートルズ日本盤よ、永遠に 60年代の日本ポップス文化とビートルズ」
著者:恩藏 茂
初版:2003年
発行:平凡社
ページ数:270
価格:1800円

読みやすさ
(文章)    :★★★★★
(構成)    :★★★★★
読みごたえ  :★★★☆☆
初心者にも安心:★★★☆☆
マニアック  :★★★☆☆
オリジナリティ:★★★★☆

オススメ度  :★★★★☆

いやはや、3月中は多忙を極めまして、すっかりご無沙汰しておりました。他の方のところもとんと見ることができず。そんなわけであまり音楽をかけることもなく過ごしていたのですが、移動中にやたら集中して本を読むようになったので、こんなのを図書館で借りて読みました。

ビートルズ日本盤! なんて文字がタイトルで踊っていますが、いわゆるレコードの資料みたいなものではありません。ビートルズの登場から解散までを、日本でリアルタイムで体験した著者(他にもビートルズ関連の著書が多数)が、その頃の経験と周りの状況等を踏まえ、日本でビートルズはどう捉えられていたのかを記述したものです。

まず驚いたのが、ビートルズの日本での売り出し方。それまではヨーロッパやアメリカの歌謡、それに映画音楽などのインストが洋楽市場の中心だった日本(洋楽市場自体、その割合は今よりずっと大きかった)で、音楽市場がないとまで思われていた英国のグループを売り出すのか。東芝音工の担当者は相当頭を悩ませたそうで、なぜかというと、誰に聞かせても「こんなの当たるわけない」と言われたから。
そこで、音楽性で訴えるのを諦め、英国でいかに社会現象になっているかを勝手な想像を交えて(爆)喧伝し、視聴会でもサクラの女の子を忍ばせて叫ばせたり、売上の数字の桁を付け足し、わざと記者の見えるところに書類を置くなどなど、今でいうステマみたいなことを堂々と繰り広げていたそうです。まぁステマなんて今さらですよね、実際。ある意味、ネット時代の今よりもえげつない、というか大丈夫なのか、って感じです。

それだけやっても、ビートルズ・ファンの中学生なんてそうそういなかったとか。クラスに1人いればいい方だとか。そんな状況を一変させたのが、ビートルズ来日の一報。で、場所はあの日本武道館。いまとなっては、あの大きな玉ねぎの下でライヴをやるのがミュージシャンのステータスになっていますが、当時はそんな前例がなく、日本の武道精神宿る日本武道館で、外国人のニィちゃんにバンド演奏させるとは何事か、となったとか。その急先鋒が、なんと正力松太郎氏、というより、記者にそんなことを吹聴されたそうで、当時日本武道館の館長でもあったらしく、ここではやらせない、と言ったとかで報道が一気に過熱。保守派の政治評論家VS新進気鋭の作家でビートルズ論争させたり(この中身が驚くほど稚拙)、どの週刊誌もこのことでいっぱいになったそうです。
はじめは武道館使用に消極的だった正力氏ですが、主催が読売新聞ということで、なんとなく折れて日本武道館での公演が実現。当日のてんやわんや狂騒曲はご承知の通り・・・。

こんな体験談以外にも、日本盤LPでの曲順や編集盤についてのレコード会社のエピソードも多く、ビートルズでいう前期についての話が充実しています。日本と英米での熱のずれ具合などが、本当によく分かって面白いです。
後半のSGTあたりからはあまり日本盤の話も出なくなり(ここから英国盤に準じたせいでしょうか)、一般的なビートルズの音楽性の変化だとかそんな話が中心に。なぜかアビーロードのところでは「最高傑作、特にB面」と突然評しはじめ(それまでも何曲かにちゃちを入れてましたが)、最高傑作ではないという意見はこの際無視、となぜか強行。一体何がそうさせたのでしょうか。僕はB面をさほど良いと思ったことがありませんが…。

そんなわけで、個人的には前半と後半のテンションの落差がちょいと気になりましたが、来日騒ぎまでの流れはふむふむ、と楽しく読めました。



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The Hollies、おつな6枚組


「あれは・・・旧ドラ!?」



ドラ「文明堂のどら焼きで100円は買えません。あしからず」


文明堂といえばカステラ猫のイメージしかなかっただけに、衝撃のひとコマでした(浜スタで有名な関内駅前にて)


で、本題はみんな大好き(爆) The Holliesの6枚組CDとやらをちょい時間をかけてようやく聞き終えました。





CDのレーベルもなかなか雰囲気の出ている感じに。昔の2枚組CDケースのような大きさのものに、6枚入っています。いや~こういう収納の仕方もあるんですね。

このCDは「The Complete Hollies・April 1963-October 1968」なんてサブタイトルが付けられている通り、ホリーズの初期~サイケ期を中心とした曲で、おそらくはグラハム・ナッシュ脱退辺りまでの全貌を捉えたもの。
オリジナルアルバムからはもちろん、シングルA/B面、未発表曲、別言語でのシングル、別テイク、別ミックス、ライヴverなどなどなんてのも収録というまさにコンプリートにふさわしい内容です。ただ、アルバム曲順というわけではなく、どうやらレコーディングされた日付?の順番で収録されている模様。ステレオ、モノラルもアルバムごとにバラバラです。この辺はJPアマゾンのレビューに随分詳しく書かれているので、そちらを参考にしてもらうとしてですね…。

いやはや日付順とはいえ、多少ホリーズに親しんだことがあるなら楽しめる内容で、別テイクとかがポンと出てくるとテンション上がりますね。すっかりナッシュ抜きでの録音と思われた「Sings Dylan」も、「Blowin' in the wind」のナッシュが歌うバージョンがあったりと、うむむ。過去にCD化されたものが多いようですが、値段の安さも魅力。UKアマゾンで約11£。自分が買った時はユーロ危機も手伝って結構な円高だったので、他のCD5タイトルのとまとめて買ったりで、発送費、梱包費足しても1500円もいかない計算のはず。

改めて黄金期を聞くとロックンロールやR&Bの影響が顕在。特に初期はそうしたカバーが多いですね。そこにホリーズにしかないキッチリと甲高いコーラスとハネるビート。黒さを究めようとしたロンドン勢とは違う方向性ですが、ブリティッシュ・ビートの最高峰のグループといっても過言ではない、ハズ。アレンジ、演奏センスでも時代を超えた抜群のモノを持っていると思います。

いつだかのグラハム・ナッシュのインタビューで、ホリーズはロックの殿堂入りすべきグループと言っていましたが、はれて2010年に殿堂入り。それでも他の同年の英国勢グループに遅れを取ったのも事実で、メンバー本人たちの確信と、世間、というか(米国)マスコミでのホリーズに対する認識には差があったのかもしれません。日本でももっと話題に上がってほしいですね。懐メロだけじゃなくて、若い人向けの音楽誌とか、ボビー・エリオットを帽子の雑誌とかで(爆) とか書いてますが、彼は超絶に尊敬すべきドラマーですね。ちなみに同年受賞した演奏者/バンドはストゥージズ、アバ、ジェネシス、ジミー・クリフでした。






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書籍 「亀渕昭信のロックンロール伝」



「亀渕昭信のロックンロール伝-ビートルズ以前、16歳の僕はドーナッツ盤に恋をした-」
著者:亀渕昭信
初版:2011年
発行:ヤマハミュージックメディア
ページ数:317
価格:1800円


読みやすさ
(文章)    :★★★★★
(構成)    :★★★☆☆
読みごたえ  :★★★☆☆
初心者にも安心:★★★★★
マニアック  :★★★★☆
オリジナリティ:★★★★★

オススメ度  :★★★★☆

著者の亀渕昭信さんという方のお名前は、随分前にレココレか何かのインタビューで見た限りで、日本ラジオ界では非常に有名なDJだそうですが、僕はラジオをまったくといっていいほど聞いたことがないので、とんと知らないのでした。

と、実に失礼な出だしとなってしまいましたが、この本は亀渕さんご本人の体験も踏まえ、タイトル通りビートルズ以前のロックンロール(もちろん主な国はアメリカ)、C&W、ソウルなどの音楽やそれにまつわる逸話を紹介するというものです。
さすがラジオDJ、というべきなのか、まるで喋っているのを聞いてるような文体で、テンポ良く読める文章そのものの面白さ。やはり語り口が軽快です。ほのぼの。

副題にドーナッツ盤なんていうのがあるように(実はこの言葉を目当てに借りてきました)、はじめはSP盤~ドーナッツ盤が生まれるまでの流れについて書かれています。もともとフリーペーパーで連載されていたものだそうで、全体を通して時系列的に書かれているとかそういうわけではないのですが、やはりレコード史は興味深いもの。まだクラシックをレコードの主流として販売していた頃、LPを発明したコロンビアとドーナッツ盤を完成させたRCA、長い演奏のクラシックにとって都合が良かったのはLPなのですが、ロックンロールの誕生によってドーナッツ盤が巻き返すという図式があったそうで、自分なんかはてっきりドーナッツ盤の方がLPより先にできたものだと思っていたので驚きでした。そして音楽のタイプとレコードのタイプがうまくハマるかどうかなんてのも、大事だったんですね。

メインとなる音楽の紹介でも、やはりラジオやテレビ絡みの話が非常に多いです。名DJたちの紹介ももちろんですが、レコード業界とマスコミとの深い癒着、袖の下なんてのも明快に書かれていて、初めて知るようなことばかりです。そして、どれもがひとつの筋道としてつながっているような不思議。この世はショービジネスですね。

個人的に一番興味深かったのは、あまりページが割かれていませんでしたが、アメリカの音楽著作権の章でした。ASCAP対BMI。この2つの言葉、レコードのレーベル面を見ていると実によく見かけます。なんとなく著作権団体の名前かな、とは思っていましたが、この両者が上り詰めてきた歴史の相違によって、見事に性格が違ってきた流れにはなるほど、です。これもまたラジオが深く関わってくるそうなのですが…。

と、構成としては多少トリビア的な面もありますが、実に愛情深く軽妙な文章で読み進められる感じでしょうか。ページはやや多いかもしれませんが、字も大きめですしすぐに読み終えることができると思います。清涼感の詰まった本でした。


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1984年生まれ。現在の住まいは千葉県浦安市。

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