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4番、サード、いたち野郎

千葉ロックマリーンズ
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2016年に読んだ本10冊

今年も何もしないまま年末が訪れ、存続崖っぷちのブログがこのときとばかり頑張りて、這い上がろうと必死にもがきます。
昨年に続き、今年も比較的に本を読んだ一年となりました。その割には印象に残ったものが少なくて選びづらい、というより本当は、ちゃんと読んでないから印象に残っていないのでは、といまさら気づきまして、それというのもドサッと図書館から借りると、積まれた本を読み終える、とりあえず目を通すことが目的となってあまり学べてないんじゃないか、という風に思えています。
しかし、最近本を読み始めたという横尾忠則が、読んだ内容は覚えてないけど、目を通してる間が楽しいからいいや、という境地に至っているそうで、そんな無責任な読書もいいかしら、と思い直しているEVEです。タツロー↑

1.レコード・コレクター紳士録 大鷹 俊一(ミュージックマガジン)1999年


音楽誌「レコード・コレクターズ」で現在も連載されている「レコード・コレクター紳士録」のごく初期(90年前後~)をまとめた本書は、中古レコードが最も熱かった時代の猛者たちが自慢のレコードを手にコレクター道を語っています。
当時のレココレ誌の方向性を反映してか、ロックは案外少なめ。タンゴやジャズ、ハワイアンをどうぞ。紳士自慢の一品が濃いめの白黒写真で紹介されており、ほーと思って海外の通販サイトで検索すると、あっさり見つかってしまうというのは時代の趨勢ですが、今は今でトレンドがあり、変なものが随分高くなるんだなあと感じています。
なぎら健壱さんが、コレクターになっても、隅々まで聴いていたときの気持ちを失いたくないと、いいことを言ってますね。でも、URCがなくなる時にダンボールにたくさん入ってた「横尾忠則 オペラを歌う」をたくさんもらってくりゃよかった、とも下心丸出しで語っていました。

2.西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 岡田 暁生(中公新書) 2005年


西洋音楽、つまり我々がいうところのクラシックが主なところで、その歴史を紐解くということは非常に難解なことらしく、というのも、往々にしてクラシックの歴史が、ルネサンス、ロマン派を通じてドイツで花開き……という物語に沿って語られるのに対し、著者はそう簡単に割り切れるものではない、と考えているそうです。そのため、ノンフィクション小説のような心地よさはないものの、目から鱗なポイントがいくつもあるはず。どうしてクラシックといえばドイツと定着するようになったのか?日本でいうところの大相撲と案外似てると思えるはず。
著者のすさまじいところは「客観的な歴史などありえない」という前提に立ち、一行足らずで「芸術」を定義するような荒業を繰り出すなど、自らの思考を何ら隠さずさらけ出すところで、といっても都合よく継ぎ接ぎするでもなく、実直な作りだなと思わせます。
内容において何よりも大事なポイントは、西洋音楽が聞き手を「感動させる」ために工夫を凝らすようになった、これがロックやポップスをも含めた西洋音楽の最重要な分岐点、て感じがします。

3.五輪ボイコット―幻のモスクワ、28年目の証言 松瀬 学(新潮社)2008年


幻のモスクワ五輪、自分が生まれる少し前の話です。
本書は当時の関係者らにインタビューを試みるというもので、山下泰裕ら競技者はもちろん、JOCら中枢の人間にもアタック。モスクワ五輪は政治的な圧力にスポーツ関係者(各競技代表、JOCなど)が屈したところが大きく、このことがJOCを独立させることになるのですが、これも時代と言うべきか、ある男性競技者が記者会見で涙ながらにモスクワ五輪不参加の取り消しを訴えたところ、男が涙を見せるとは何事か、ということで世論はボイコットへ傾く結果となるなど、日本中を巻き込んでの騒動となったそうです。
競技者それぞれにも思惑があり、まだご存命だった古橋廣之進の、一周回って「参加すべきでない」という意見。これは、騒々しい世論の中では集中して競技に臨めないという、これは自身のご経験から語っているのかもしれませんが、こういうコメントを自信を持って話せるのだから、老人をもっと尊敬しないといけない。

4.スピンクの壺 町田 康(講談社)2015年


犬の立場になって、町田ファミリーを見てみよう、という趣向です。
近年、町田康が書く作品は、主人公(つまり著者自身)が堂々巡りをするアホ、という設定が多いんですが、本作もそれを踏襲しています。もう長年このスタイルな気がしますが、延々とブルースのレコードを出し続ける、流行の潮流に毒されないミュージシャンの気風のようなものを感じますね。昔の作品「つるつるの壺」系列のタイトルですし。日常生活の些事をねっとりじっくり考えよう。


5.生ける屍の結末―「黒子のバスケ」脅迫事件の全真相 渡邊 博史(創出版)2014年


「黒子のバスケ事件」というのがちょっと前にあったんですね。黒子のバスケという漫画の著者に対する脅迫を目的とし、漫画のイベントへの爆破予告などが長期間続いた、という一連の犯罪です。本書はその被告による著書で、事件の経緯、犯罪を起こすまでに至った心理の自己分析を仔細漏らさず描いており、特に著者自身が大きなポイントとして示していた家庭環境の異質さを第三者に指摘された点は、永山則夫や加藤智大にも共通してますね。
不安障害などメンタルの病気も自覚していない人が多く、その症状がどこからきてなぜ起こるのかわからないまま過ごすと認知の歪みを起こすのではないかと思います。
で、今年はネットで自殺を配信する若者が出現するなどその実態を見せつけられ(犯罪と自殺は違うもののようですが、著者は自分が犯罪を起こしたことは必然だと考えていません)、他にも予備段階にある人がいるんじゃないかとも。

6.アメリカ本土を爆撃した男―大統領から星条旗を贈られた藤田信雄中尉の数奇なる運命 倉田 耕一(毎日ワンズ)2014年


中学時代に日教組と思われる社会科の先生がおり、授業で「アメリカに爆弾を落とした日本人がいるんです。全然ダメージ食らわせられなかったんですけどね」と、ウフフと笑いながら話していたその逸話をなぜか忘れられずにいましたが、ようやくそれが本当だったと知りました。
タイトル通り、太平洋戦争においてアメリカ本土を爆撃した男がいる!我々はその本に密着しました。それによると、爆撃した男性はすぐに日本に引き返し、生きて終戦。当時の民衆と同じく戦後の貧しい生活を経て仕事を見つけ暮らしていたものの、閣僚レベルの政治家より連絡があり、あなたが爆撃したアメリカの土地の方に招待されている、と知らされます。もしかしたら殺されるかもしれん、という話を受け、覚悟を持って招待された土地へ出向くと、勇気あるサムライみたいな形で紹介され、親睦を深めたそうです。当人も立派な軍人気質の方なんでアメリカ的にはサムライ度が増したのか、交流はその後何十年と続き、アメリカ人の日本へのプチ留学も斡旋するような、良好な関係が続いたようです。
当人は慎ましい生活を続け、残念ながら亡くなってしまったそうですが、本書の内容は意外にも、晩年のなんてことない生活を辿ったページが半分近くあります。その中で、敵地との交流を深め続けた一般男性、という描き方が実にいいですね。やっぱりサムライ度が増した。


7.ポル・ポト〈革命〉史―虐殺と破壊の四年間 山田 寛(講談社選書メチエ 305)2004年


本当にそんなに人が殺されたんですか?と疑いたくなるポル・ポト革命。ポル・ポトが反政府ゲリラを結成したころに現地取材をしていた記者が、調べられるところまで深掘りしたものですが、何分ポル・ポト政権下では写真や映像、果ては文書もほとんど残っていないそうで、あらゆる疑問を呈しつつ、甚大な被害の数字に圧倒されるがままに読み終わります。
で、ちょっと動画なんて検索してみたら、主犯と言われる人間たちが結構のうのうと生きてペラペラ喋ってるんですよね。これは彼らが重要な参考人でもありながら、罪のなすりつけ合いを延々とし、かつ死人に口なし、ってことで死んだポル・ポトに逆らえなかった的な証言を続け、国際裁判がいつまでたっても終わらないためだそうです。

8.キャッチフレーズの戦後史 深川 英雄(岩波新書) 1991年


最近はコピーライトって流行らないですね。ヒット作がないというか。広告自体も話題にならない。もう20年くらいそんな感じじゃないですかね?
戦後早いうちからコピーライターをしていた筆者によれば、戦後に生まれヒットしたキャッチフレーズは、よく言いわれることですが世相を表したものだっつーことで、いまのキャッチフレーズ(本書が出たのは平成になってすぐ)はどうも言葉の形、ノリみたいなものだけが先走っている、という批判を展開していました。して、さらに20年以上経たいまはどうか。個人の趣味や嗜好がますます多様化し、その多くが社会的にも認知されるようになり、世相を捉える、という行為自体がピンとこなくなってるんじゃないかと思います。今年一年の漢字も、流行語大賞も、反応が弱いですもんね。我々は個人が個人を追究しなければならない時代にいるのです。多分。


9.人間の生き方、ものの考え方 福田 恆存(文藝春秋)2015年編集


少し前に、いわゆるサブカル的なブックショップで福田恆存の名前を見かけるようになりまして、いまはまた見かけなくなったんですが、ぼくはいまさら初めて読みました。
批評家であり、戯曲家であり、古典の翻訳家でもあり、つまり大した人物だということなんですが、再版された彼の本の中でも、割りかし読み進めやすいのが本書ですね。ほかも何冊か目を通しましたが、大昔の思想誌に載ったものが多く、これはよく考えて読み進めないと難しいものでして、大学のときの課題で一冊の哲学書を一年読み続けたのを思い出しました。いまはそんな心のゆとりもないですし、一人で勉強するにはいかに根気が必要かと改めて思い知らされます。しかし、本当によいことが書いてあって、文章も整ってますし、小林秀雄ともどもこの時代の凄まじさだけでも感じておきましょう。モアザンフィーリング。

10.ビートルズ来日学 宮永 正隆(DU BOOKS)2016年


これまたレコード・コレクターズで最近長く続いているコーナーですね。ビートルズの、あのただ一回の来日について、延々と研究し成果を報告するというものなんですけども、スチュワーデスやテレビ局の方、ステージ関係者、運転手、ホテルマン、骨董屋、仕立て屋などなど……ビートルズに接した方への取材から、驚くほどいろいろなことが分かってくるんですね。車に乗った順番や、洋服の色やら、どれだけ小さなことも漏らさず調査すると、大きな疑問を解決するヒントになっていきます。
これって、別に他のバンドはもちろん、俳優でやったって、政治家でやったっていいはずなんですよね。「オバマは広島で演説する直前にマイクの首振りを気にしていた」とか。得られる結果だって同じはず。では、なぜビートルズをテーマに延々とこんなことを調べているかというと、そこまでさせる引力を持つのがビートルズしかいないから、ということになるでしょうか。もはや音楽の一バンド、一ジャンルをも遥かに越えた、歴史的なアイコンとも言えるんですかね。凄まじい。


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1984年生まれ。現在の住まいは千葉県浦安市。

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