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4番、サード、いたち野郎

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書籍「ジャップロック・サンプラー」




ジャップロック・サンプラー
-戦後、日本人がどのようにして独自の音楽を模索していったか-

著者:ジュリアン・コープ
訳者:奥田祐士
2008年
白夜書房
375ページ
2800円

読みやすさ
(文章)    ★★★☆☆
(構成)    ★★★☆☆
読みごたえ   ★★★★☆
初心者にも安心 ★☆☆☆☆
マニアック   ★★★★★
オリジナリティ ★★★★★
オススメ度   ★★★★☆


この本の存在は出版された当時から知っていたのですが、フラワー・トラヴェリン・バンド「エニウェア」のジャケをしつらえたカバーが本の分厚さを見た目以上に重苦しく見せており、手を出さぬまま5,6年経過。先日、偶然コメント欄でご紹介いただいたこともありついに図書館で借りることとあいなりました。

重要なことは、何より著者があのジュリアン・コープということでしょう。彼は80年代ニューウェーブの代表格ともいえるミュージシャンで、日本ではどのくらい知名度があるのかは知らないのですが、中古レコードが300円程度でも手に入るのだから当時売れていたんじゃないかと思います……自分も2枚くらい持っているはず。そんな英国人の有名ミュージシャンが日本のロックについて興味を持っているばかりか400ページ近くを使ってまとめてあげているというのだから、試みとしては相当にユニークなものです。

さて、大仰なサブタイトルが示唆するように、この本はちょっとしたアカデミックな書物となっています。黒船来航から始まる日本史、日本語の響きといった根本の理解からスタートし、戦後日本のロック史、そして各アーティストの解説へと流れていきます。ただし、ここで登場する日本のロック史には、フォークジャンボリーもニューミュージックも登場しません。むしろそうしたものへのアンチテーゼとしてジャックスが取り上げられるほどで、勘の良い方はこれでどういったミュージシャンが登場するのかだいたい察しがついたかもしれません。本書における日本のロック史はアンチコマーシャルで、アンダーグラウンドで、サイケデリックな、そうした辺境に位置するものを捉えています。
J.コープは冒頭でサイケデリックについて、自身の体験も踏まえながらドラックなしでは成り立たないと書いています。彼は日本にドラック文化がさして根付いていないことも踏まえており、それでもなお「ジャップロック」にドラッキーでサイケ感あふれる音楽が、日本の土着的な性質と絡んで存在するのだと力説しているのでした。

本書を読んで誰もが驚いたことだと思いますが、非常に注釈が多いんです。著者のではなく、日本の編集によるものですよ。これは事実誤認が相当数見られるためで、日本のヒッピー文化の始祖が「寅さん」井上順がハーフだのといった、我々からしたら思いもよらぬゆえ笑っていいのか笑えないのかためらわれるような間違いが多いです。そのためアカデミックな文体でありながら正確に読み解く資料としては使えないのですが、巻末で特別対談した近田春夫が感想として話したように、凡百のライターでは持ち得ない熱狂ぶりが伝わる独特な文章となっているところに高い価値を見い出せると思います。イギリスで一定の地位を築いたミュージシャンが、まるで何の縁もゆかりもない日本の同質の音楽をどう聞いたのか、混じりっけないストレートな言葉で描いています。さらに関係者……特にここでは内田裕也がどういった熱情を持ってプロデュース業に携わっていたのか、まるで当時のことをそばで見ていたような口ぶりで書くあたり、文献等では知る由もない感触をも表現できるのは彼ならではのセンスかもしれません。同じ音楽に携わる者としてシンクロする部分があるんでしょうか。

J.コープは本編の最後に「著者のトップ50」と銘打ち、日本のロック名盤を紹介。その全てについて解説をつけています。カタログのほとんどはオリジナル盤レコードが高額なもので、CDでも廃盤になっているようなものが多いですね。ただ、そうしたもの全てを諸手を上げて受け入れているわけではありません。最後の最後には「手出し無用のアルバム」と題し、レア盤というだけでコレクターが自分を慰めるために名盤と言っているだけの無価値なアルバムを紹介しています。評価の基準は著者の耳によるものと理解していい証左になるでしょう。

ベスト50に入ったミュージシャンのうち、7グループを独立した章で紹介しています。そのラインアップは

・フラワー・トラヴェリン・バンド
・裸のラリーズ
・スピード、グル&シンキ
・タージマハール旅行団
・J.A.シーザー
・佐藤允彦
・ファー・イースト・ファミリー・バンド

となっています。
なかなか日本の音楽本でもお目にかかれないようなグループたちを取り上げていて真偽のほどが確かめられないような箇所も多いです。例えば情報がほとんど浮上してこないことで有名な裸のラリーズですが、このグループのメンバーが「よど号ハイジャック事件」の実行メンバーとなったことは有名。その事件を受けてフロントマンである水谷がどのように考えどのように行動したか……自分自身もさほど詳しくないのもあり、そうした点に確信が持てず読むはめになったのですが、あの日米安保闘争時代の日本の熱を感じ取ったかのような書きっぷりは真に迫るものがあり、たとえフィクションであるとしても、騙されても面白ければいいじゃない、という寛容寛大な心を持つ人であれば読み物として胸を打つものがあるかもしれません。そうした怪しいながらも情熱を注いで描かれたヒストリーが、各章で展開されています。

日本のロック史がフォークやブルースに根ざしたアメリカン・ロックへの憧憬……はっぴいえんどを中心としたような構造として描かれるのに対し、他の抜け落ちていた系譜……ブリティッシュ・ロックやアメリカ辺境サイケ、現代音楽……が本書で紹介されるグループたちにはあるように思えます。これはフラワー・トラヴェリン・バンドをプロデュースした内田裕也に端を発した「日本語ロック論争」の対立構図とも共通しますが、今の時代に英語でロック演ります、なんて言ったら逆にダサいイメージを持たれるかもしれません。それでも、あの英米ロックが激流の中もみくちゃになりながら磨き上げられていた時代にそれらをカバーすることがいかに大きな意味があったのかを、本書はミュージシャンの視点で教えてくれます。著者が「日本語ロック論争」の対立軸を知っているのか定かではありませんが、はっぴいえんどについて否定的な言い回しを使っているあたり、相反する両者の音楽性をその嗅覚で感じ取ったのかもしれません。それは客観的な価値判断ではなく、好みの問題として、ですが。

日本にも英米以外の国のロック音楽を扱った本はいくつか見られますが、その多くは日本人が書いたものではありません。例外はいくつかありますが、外国人によってこれほど体系立てて書かれた例はなかなかないのではないのでしょうか。
ロシアの映画監督セルゲイ・エイゼンシュテインは生前に日本の能について論文を発表し、その中で「日本人は私のような外国人に能の研究を任せるわけではあるまい」みたいなことを冗談ぽく書いたそうですが、本書にもどこかそうしたアイロニーを感じる次第でした。



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書籍「ビートルズをつくった男」ーブライアン・エプスタインー





ビートルズをつくった男 -ブライアン・エプスタイン

著者:
R・コールマン
訳者:林田ひめじ
1989
新潮文庫
679ページ
760

読みやすさ
(文章)     ★★★★☆
(構成)     ★★★★☆
読みごたえ   ★★★★★
初心者にも安心 ★★☆☆☆
マニアック   ★★★★★
オリジナリティ ★★★★★
オススメ度   ★★★★★

図書館で取り寄せてみたら、700ページもあるという、なんたる分厚さ…。しかしせっかくの機会なんで、2週間近くかけて読み終わりました。

5人目のビートルズ」と呼ばれるなど(本人はこう呼ばれることを大変嫌ったらしい)、ビートルズの変遷を知る上では絶対に外せない人物、それがブライアン・エプスタインです。ビートルズのマネージャーであり、そしてアーティストのマネージメントを統括する会社NEMSエンタープライズ」の社長でもある彼は20代の若さにして富と栄光を築きますが、ストレスや孤独に苛まれ、ビートルズ絶頂期にわずか32歳でこの世を去りました(ジャジャ~ン)。と、いうくらいしか知らなかったんですが、本書では彼の一生を事細かな取材、続々と発見された関係者との手紙をもとに描写。バックボーンや性格について、そして当時のマネージメントの方法なんてのを知ることができます。著者はエプスタインとも親しくしていた音楽ライターとのこと。

本書にそって彼の生涯をかいつまむのも大変な作業となりそうなので、本の中でも度々強調されている点を先に示しておきたいと思います。


ホモセクシャルであり、ユダヤ教徒であること

彼の人格を形成していたものとして強調されていたのが、この2点です。自身がホモセクシャルだと気づいたのは若い時のようで、その頃には両親に相談していた模様。しかし、当時のイギリスでは同性愛者であることは犯罪に当たることだったそうで、そのためこの事を隠して生きることに苦痛や孤独を感じていたようです。さらにエプスタイン家はユダヤ教徒であり、本人もその教えを信仰していたことから、同性愛とユダヤ信仰との間で板挟みに合っていた、ってことになるんでしょうか。

しかしユダヤ教徒であったにもかかわらず、彼は成功した後もイスラエルを巡る戦争への資金提供を一切拒否していたそうです。それは「普遍的な愛」という宗教の根源的なテーマに基づいたもので、宗教紛争には懐疑的だったためだそうです。そのため、フラワームーブメントには一目置いていたようで、自身もサイケなファッションを好んで着用していたんだとか。数年前までビートルズをはじめとする連中に、スーツを着るよううるさく言っていたことを考えると意外ですが。

ただ、そうした平和主義的な思想、さらに労働党支持者でもあることがショービジネス界の人間としては落第だとされ、孤立感を強める一因になったと言われているそうです。

ブライアンはビートルズの面々をそれぞれ評価していましたが、その中でも最も高く評していたジョン・レノンにはホモセクシャルであること、それにユダヤ教徒であることをネタにされ、ジョークを飛ばす時の格好の獲物とされていたそうです。ただ、そのことでジョンに言い返すこようなことはほとんどなかったとのこと。自分のプライドよりも、バンドをうまく操っていくマネージメントに心を砕いていたんでしょうか。

その後は経営についてジョージ・ハリスン、そしてそれ以上にポール・マッカートニーにはうるさく口を挟まれる場面もあったそうで、それが彼の死後に設立される「アップル」へとつながっていくんですね。しかし、ブライアンという有能なマネージャーを失った会社がどんな末路を辿ったかは、ご存知の通りです。


ざっくりバイオグラフィ

ブライアン・エプスタインは初めからアーティストのマネージメントをしていたのでもなければ、勉強したこともありません。地元・リヴァプールで家業の家具店を営んでいましたが、そこですでに現場主義的な経営で頭角を表していたそうです。それを別事業であるNEMSレコードで生かし、中~上流階級出身らしい丁寧な接客、くつろげる試聴スペース、どんなレコードも必ず取り寄せ、厳正な出退勤管理などにより地元では有名なレコードショップとなります。

そのNEMSレコードに舞い込む「マイ・ボニー」というシングル・レコードの注文。これが気になって仕方ないブライアンは自らの耳でそれを確認するべく、ビートルズの演奏を見に行き、その場で惚れ込んでしまいマネージャーになることを打診します。たしかにビートルズの演奏はその界隈では有名だったそうですが、ブライアンはその当時から「エルビス・プレスリーよりもビッグになる」と本気で考えていたそうです。本人はクラシックやサントラのファンであってポップスはほとんど分からないにもかかわらず、ヒット曲を嗅ぎ分ける感性は鋭かったそうで、ビートルズ一本釣りもその賜物といえるでしょう。

ビートルズのヒットにより、ブライアン・エプスタインの名は一躍有名に。ブライアンにマネージメントされることが大きなステータスになると言われ、音楽業界にその名を馳せていきます。その後シラ・ブラックジェリー&ザ・ペイスメイカーズらを台頭させて「リヴァプール・サウンド」ブームを生み出し、英国音楽史上最大の功績と言われるブリティッシュ・インヴェイジョンも成し遂げたわけですから、ビートルズとの出会いからわずか23年の間に人生は一変してしまいました。

ブライアンの経営哲学は、彼自身の純粋な人柄によるものが反映されています。契約したアーティストを裏切らず、本人に困ったことがあればどんな時でも駆けつける。アーティストを騙すような契約内容は絶対に作らない。物腰柔らかく誠実な態度で商談をするが、譲れない点では絶対に譲歩しない。汚い手でもなんでもござれの音楽業界からしたら異質なやり方で、社内の人間や関係者の信頼をつかんだ、という具合に本書では表現しています。

その後は薬の過剰摂取やギャンブルに溺れるなどして人間関係が揺らぎ始め、自暴自棄となり死に至ったのですが、彼の死後ほとんどといっていいほどビートルズのメンバーの口から、彼の偉業について語られないのは不思議ですね。その点について著者はビートルズに対して批判的に書いていますが、当時一世風靡しながら肝心のメンバーがその話をしないというのは違和感がないでもありません。Free as a birdの映像にもブライアンは登場しない気がするし、アップルでの失敗があるので本人たちの中では話したくないってことなんでしょうか。


なんて具合にたっぷり学べる重厚な一冊です。ビートルズやリヴァプール・サウンドのファンにとって刺激的な内容であることはもちろんですが、案外ビジネスの心構え!みたいな一冊としてもいいかもしれませんよ。最近は破天荒ぽい経営者によるビジネス本が流行ってますから「All you need is cash」と改題して再版をラトルズ絶賛来日中です(公演はもう終わり?)。


最後に本書で初めて知ったことについて…ビートルズの契約をDECCAが蹴ったというのは有名ですが、実はその前にEMIが一度契約を見送っていた、という話が出てきます。ただ、その時に集められた社員の中にジョージ・マーティンがおらず、後日別の機会に彼らの演奏を聞いたマーティンが気に入りパーロフォンとの契約につながった、という経緯があったんだとか。戦犯EMIになる寸前まで来てたんですね。



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書籍「アナログ・ミステリー・ツアー」(1962~1966)(1967~1970)



アナログ・ミステリー・ツアー(1962~1966)

湯浅学
2013年
青林工藝舎
223ページ
1500円

 

アナログ・ミステリー・ツアー(1967~1970)
湯浅学
2013年
P-Vine Books
319ページ
1900円

読みやすさ
(文章)    ★★★☆☆
(構成)    ★★★★☆
読みごたえ  ★★★★☆
初心者にも安心★☆☆☆☆
マニアック  ★★★★★
オリジナリティ★★★★★
オススメ度  ★★★★☆



レコード本もここまできたか、と驚愕の一冊。ビートルズ各国盤をひたすら聴き比べてその違いを検証しようという試みは、アルバムはもちろんシングル、4曲入りEPにも範囲を広げて2冊に分けての大ボリュームとなりました。各種カートリッジやリード線なんかも変えながらの試聴となったので果てしない作業となり、先に答えを書いておきますと、結局は音盤に著者たちがガイドされていた、ということになったそうです((((;゚Д゚))))

はじめは「スゴい盤を探そう!」と意気込んでみたものの、やりはじめると一筋縄ではいかないことがたくさんあることが判明。聴き比べをはじめてずーっと音がイマイチだと思っていた国内盤が、ある日日本製カートリッジを使ったらとても良かったとか、そうした機械との相性の問題がたくさん出てきてしまう。それだけならまだしも、盤のコンディション、その日の体調や季節なんてのでまた印象も変わってしまうのは、どうにかできる問題でなく。

そんなわけで明確な答えは出ませんでしたが、あらゆる手段を講じてたくさんの盤を聴き比べたという足跡が文章や写真として残ったことは大きな一歩ですね(?)。レーベルデザインは同じなのに、スタンパーが違うだけで律儀にも画像を並べる狂気ぶり!

ぼくのビートルズ音盤遍歴というのは、まず小さい時に白い帯の頃のCDを集めて、中~高にかけて国内盤のAPやEASを適当に拾い、その後半くらいにモノラルの存在を知ってそれからモノラルを英盤や米盤で集めて今に至る……といった具合なので、各国盤に関してはほとんど分かりません。
それでも楽しく読めるもので、それはなぜかというと、著者の他にもう一方選者がおり、半分以上はその2人が聴いた感想を述べながら盤を取っ替えていくというスタイルになってるからだと思います。そのやりとりが軽妙というか、オーディオ的な型にハマった表現になってないので、真剣に音の違いを読み取るんではなくて、そのトークを傍観するってな感じになるんです。音楽関連のトークショーに行ってるみたいな体験ですかね、ぼくは行ったことないけど(^q^)
その対談を読み進めていると、だいたいどの盤が評価高いみたいだな、というのは分かるもので、2冊とも読み終わる頃には各国の印象がしっかり刷り込まれてます。

というわけで、ぼくの記憶の中から特に評価の良かった国を抜き出すと、ニュージーランドインド、ということになるようです。やっぱりインドはシタールの音がいいそうですよ。

この、インドはシタールの音がいいって、そんな都合のいい話が……と思われると思いますが、というかぼくもそう思うんですが、著者の方々はその国のカッティングエンジニアがビートルズの変化をどう理解していたか、という仮定の話でそれぞれのレコードの音を評価しているんです。

例えば、ラバーソウルあたりの日本オリジナル盤は、日本ではビートルズがまだアイドル的な可愛い音に仕上げようとしているせいか、高音が強い。ビートルズの音楽性の変化をカッティングエンジニアが理解できていなかったんじゃないか、みたいな。こういった考え方が実際に各国盤の音の違いにどれだけ反映されるかは分かりませんが、面白いな~と思いますね。ジョージの曲でのシタールは、本場インドからしたら余裕を持ってそのサウンドを受け取れるわけですから、ある意味では英国盤以上に深みのある音に仕上げられる……かもしれない。真偽は別としてまして、そういう可能性を想像してレコードを拾うっていう楽しみ方が生まれますよね。

マニア向けであることは間違いありませんが、ちょっとレコードをはじめた方にもいいかもしれませんね。レコード界隈のヤバさを直に感じ取れるシリーズでもあります。

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書籍「1000 レコードジャケット」



書籍「1000 レコードジャケット」
マイケル・オクス
2002年
タッシェン・ジャパン
766ページ
2500円
読みやすさ
(構成)     ★★☆☆☆
読みごたえ   ★★☆☆☆
初心者にも安心 ★★★☆☆
マニアック   ★★★☆☆
オリジナリティ ★★★★☆
オススメ度   ★★★☆☆
洋書カテゴリーにて「ジャケット」で検索するとよく引っかかる本がこちらでして、それがちゃんと日本でも出版されていた…といっても著者によるイントロデュースや項目ごとの数ページが日本語訳されているくらいで、おそらく原書とほとんど変わらない内容だと思います。
ジャケのみ!みたいな本ておそらく初めて読みました。ちゃんと本の構成に倣い、ただ眺めただけです。著者の方は60年代頃から音楽カメラマン、ライターとしていろいろなレーベルを渡り歩いた方だそうで、何でもそうした仕事をするたびにレコードを貰える環境にあったそうです。そこで宝の山となったコレクションを使ってこんな本を出してしまったんですね。
基本的には年代ごとにジャケットを掲載していますが、カメラマンだけあって構図や絵のタッチにも共通点を見出して並列しているのはユニークだなと思います。


Supertramp「Breakfast in America」





Al Kooper「I stand alone」




が並んでいるのとか、妙に感心してしまう。言われないと同じ類型のものとは思えませんからね…。
Boz Scaggs「Silk Digrees」Richie Havens「The End of the Beginning」も個別に見るとまるで違うのに、左右対称ぽい。
見ていて面白いのは、オリジナルのジャケではなかなかCDにされない50年代の数々。60年代以降は有名なアルバムばかりなんで眺め飛ばしまくり。気になったのは、UKのビート・グループ~サイケのあたりがアメリカ盤ばっかりだな~と思っていたら、著者はアメリカの中ぐるぐる回ってレコードをもらっていたのだからそりゃそうだ、と合点。しかしThe Who「My Generation」がVirgin盤のみなのは萎える(^q^)
それと、キーフによるジャケとかがスパッと抜けてるんですよ。イントロデュースに一部掲載が許されなかったのがある、てことなんでおそらくそうした憂き目にあったんでしょうが…ジャケ本の一番の課題になりそうですね。
そうしたこと以上に、何か物足りなく感じるのはなぜだろう…と考えてみたところ、やはりジャケットにデータも付いてないとどうもダメみたいです。デザインした人くらいは載ってるんですが、たまに年代表記の違い(サンプルになっているレコのプレス時期なのかアルバムそのものの発表年なのかイマイチ分からない)があるのも気になる。あとやはりレーベル面も見たいし。レコードの本でありながら、レコード的な読み方ができない片手落ち感が拭えぬまま眺め終わりました…と、今回はなかなかに自分勝手な感想ですがご容赦を。




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書籍「ピンク・フロイドの狂気」



書籍「ピンク・フロイドの狂気」

マーク・ブレイク
訳者:中谷ななみ
2009
P-Vine Books
423ページ
2500


読みやすさ
(文章)    ★★★★☆
(構成)    ★★★★☆
読みごたえ   ★★★★★
初心者にも安心 ★★☆☆☆
マニアック   ★★★★☆
オリジナリティ ★★★★☆

オススメ度   ★★★★☆

ピンク・フロイドのバイオグラフィー決定版として、当時そこそこ話題になった気がします。
2冊に分けて刊行されたピンク・フロイド「狂気」「神秘」。発売順から行くと「神秘」が先と勘違いしそうですが、「狂気」の方が上巻です。原題は「Pigs Might Fly」ですか…。

上巻の表紙を飾ったのは、サイケデリックな衣装に身を包んだシド・バレットひとりだけ。それもそのはず、
400を超えるページのうち半分以上は、シドについて書かれているんです。なぜ邦題タイトルに「狂気」を持ってきたのか、答えの半分はシドについて扱っているからなんですね。

これは冷静に考えると驚くべきことです。フロイドのキャリアが仮に初レコーディングの
1967年から再結成した2005年まであるとすると、約38年。そのうちシドの在籍期間はわずか12年…そんな彼がこのモンスター級といわれるまでになったバンドのバイオグラフィー全体の1/4以上を占めている。レコードの売上枚数だって、シドが在籍していた頃の数枚のシングルや2枚のLPが際立って売れたわけでもない。それでもこれだけページを割いたのは、根強いシドファンが多いのはもちろんのこと、バンドにとってもあまりに大きい存在だったからでしょう…と、月並みなことを申しましたが、本書のトリとなるアルバム「狂気」やその次の作品「あなたがここにいてほしい」、そしてライブ8での「シドに捧ぐ」という言葉ともに始まる演奏…当事者たちにも大きな影を落としていることは間違いありません。

さて、そんなシドについてやたら細かく書いているので、中盤までは濃密すぎて体力削られます。大抵は、シドの旧友へのインタビューが多いんですが、どのクスリ使ってた? とか、あの時はキマってたの? とか、まぁそんなところです。

そしてシド作のシングル曲のヒット、ファースト・アルバムの録音と話が進み、このあたりからシドの精神的な問題でバンド存続が難しくなるというわけなんですが、当時はシド抜きでバンドを続けていくのはかなり難しいと考えられていたようですね。クラブでも絶大な人気を誇るフロントマンを外すわけにはいかない。ということで「ビーチ・ボーイズ形式」なるアイデアが内部で出たそうです。つまり、ブライアン・ウィルソンのように、ライブには出ないけど曲を書くというもの。しかし、これは曲を書きたがっていたロジャー・ウォーターズが反対したとかで、結局採用されなかったようです。さらには、バンドの音楽理論を担っていたリチャード・ライトとシドがバンドから離脱し、別のグループを組むべきだという提言まであったらしい。

初期においてライトが高い評価を得ているのにはちょっと意外でした。というのは、ぼくはフロイドというバンドはウォーターズとデヴィッド・ギルモアが中心となっていたと思っていたためで、本書を読む限りでは、少なくとも「狂気」までは音楽理論
/技術を司るライトとギルモア、そしてアイデアを提供するのがウォーターズとニック・メイスン、というバランスで成り立っていたようです。後者は建築の勉強をしていたコンビでもあります。

恐らく下巻では相当書かれているであろうウォーターズについては、上巻で好人物としては描かれていません。実はぼくが初めて行った外タレコンサートはこのロジャー・ウォーターズのソロ公演なんですが、好きかどうかと言われるとあまり好きではありません。ライヴ映像「ライヴ・アット・ポンペイ」で流れるウォーターズへのインタビューは本人が得意気な割にはつまらない返答ばかりだし
(友達にしたくないな!)、「狂気」以降のウォーターズが与えたコンセプトも頭でっかちな感じがして…といったウォーターズのアティチュードというのは非常に政治的なもののようでで、その萠芽が本書にも描かれています。

そうしたウォーターズの試みが、こんにちフロイドを「プログレ」のグループとして位置づけていると思うのですが、どうやら「狂気」より前はそうではなかったみたいです。「おせっかい」の評判について

知性派バンドとしてのライバルだったイエスやキング・クリムゾンとは比較されることなく、ザ・バンドやクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングといった、より柔らかな音のバンドと比較された。

と書かれていて、やはりこの頃まではフォーク系という扱いだったのだなぁと…。

著者は雑誌「モジョ」で執筆している、くらいの紹介しかありませんが、随分の取材と資料整理をこなしたもんですね。緻密さと情熱に恐れ入りました。下巻を読むかどうかは…だって裁判や不仲の話ばっかかもしれんし…面白そうですけど()




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1984年生まれ。現在の住まいは千葉県浦安市。

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