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4番、サード、いたち野郎

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レコード買い方放談(4) エサ箱

趣味を尋ねられた際「中古レコードをよく買ってます」と言うと、たいていこう聞き返される。
「レコードっていくらくらいするんですか?」
ピンからキリまで、と答えるしかないのだが、それではいい加減に答えてるように思われるので「安ければ100円でも買えます」と言うようにしている。すると今度は「そんな安いんですか?」と驚かれる。
世間の人にとってはレコードは過去の遺物であり、もう生産をしていない(という思い込み)、しかも古いものだから値段が付いている、と思われるのだろう。しかし、たくさん売れたレコードはリサイクル界隈で流通過剰となっているのが現実で、そんな商品はどんなに安く付けてもなかなか売れない。ブックオフに「ハリー・ポッター」がいつまでも並んでいるのと同じことだ。そうしたレコードは通称「エサ箱」と呼ばれる一角にまとめられている。

「エサ箱」とは、そこそこ値段の付いたレコードたちとは別に、くたびれたダンボール箱などに収納された安レコ群のことで、大抵は無造作に地面に置かれている。これが通路に置いていようものなら、狭いためにかがむと腰を痛めるし、ほかの客の移動にも気を配らなければならず、もはや存在するだけで邪魔という扱いをされている。それでも頑張って見ていれば掘り出し物がある……?かというとそんなうまい話もなかなかない。ぼくも以前はエサ箱もチェックしていたけれども、最近はハナから諦めている。地方の古道具屋とか行けば話は違うのかもしれないが……。

そんなわけでエサ箱でレコードを見ることもめっきりなくなってしまったが、これからレコード屋に行ってみようという人には、億劫でもエサ箱を覗くことをオススメする。というのも、エサ箱は日本で人気のあったレコードの歴史を総ざらいできる、一大絵巻となっているからだ……たぶん。
CD世代のぼくにとって、戦後の音楽体験をいかに会得するかというと、一つはニュースやライヴ映像、雑誌やライナーなどといった当時のメディア情報。もう一つは中古レコードの棚を見ることだと思っている。レコードの流通量と値段の組み合わせから、当時の人気と現在の再評価のバランスを勝手に推し量って遊んでいるのだ。

100円以内で買えるエサ箱常連レコードの一例


ぼくの体験からエサ箱の記憶を辿ると、歌謡曲やニューミュージックといった日本人のミュージシャンは挙げればキリがないので飛ばすとして。それ以外では、映画関係のレコードが充実しているように思う。まず、なぜかよく見かける「銀河鉄道999」の映画サントラ。綺麗な鉄郎が登場することで有名な本作は男の浪漫にあふれており、所々で泣かせにかかる名作だ。本作が優れているのは脚本や野沢雅子だけではない。転機となる重要なシーンでは、必ずと言っていいほど洒脱なバックミュージックがかかる。そしてメインテーマはゴダイゴ。アニメにハリウッドのごとき本格的洋楽サウンドが乗ったことが、当時は革新的だったのかもしれない。子どもだけでなくレコード購買層である大人も楽しめたからこそ、ヒットにつながったのだろうか。そのほか、もっと古い洋画でビージーズが挿入歌を担当した「小さな恋のメロディ」のシングル群、国内テレビだが「太陽に吠えろ!」「西部警察」のような人気刑事ドラマもよく見かける。

ミュージシャン別では、ワーナー時代のロッド・スチュワートがマンガ「レコスケくん」でネタにされていた。そのほかベイ・シティ・ローラーズや、マウンテンというアメリカのハードロック・バンドも国内盤をよく見る。
海外ミュージシャンも挙げていけば数える指がいくつも必要になるのだが、ここでポイントとなるのは、エサ箱にあるからといって現在の評価が低い、とは限らないことだ。日本で人気のあったアルバムの輸入盤は、値段のランクが上がる。状態にもよるが、綺麗なものなら3桁をゆうに超える値段が付く。リアルタイムでハマった人が、今もその魅力に取り憑かれているからこそ輸入盤に付加価値が生まれ、高くても本物に近い音を求めて買っていく。ぼくもエサ箱の常連・ミッシェル・ポルナレフのファーストを仏オリジナル盤で欲しいと思っているが、これは今でも人気があるせいかレア盤といってもいい値段が付いている。ほかの事情で、初版に限り枚数が少ないのかもしれないが、どうなのだろう。
人気が途切れても、それが一過性とは限らない。ブームが終わってもそのアーティストを好きな人がいる限り、価値が再び生まれる。ヒット曲こそ素晴らしいという人には実に安上がりで効率のいい趣味になるし、輸入盤にこだわりながなければとても有用なレコードとなるだろう。

また、これは感覚の問題だけれども、レコード屋に入り最初にエサ箱に目を通しておくと、余計に高いレコードを買わずに済む。先に安いレコードを見て目を慣らしておくことで、壁に掛かったレア盤の値段に疑問符が沸いてくる。そして禅問答がスタート。
「レコードに刻まれた音はみな平等なはずなのに、一方でこんな高いお金を出してレコードを買うことがあっていいのだろうか……」
最初に自分の好きなジャンルやレア盤コーナーに行きたい気持ちを抑え、エサ箱でレコードの価値を再認識しておく。そうすることで清貧の哲学が宿り、高価なレア盤を買う気が失せる。よほど欲しいものでない限り無理な買い物はしなくなるはずだ。

番外的なレコード買い方放談、また思いついたことがあれば!



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拍手[8回]

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Comment

無題

  • yuccalina
  • 2016-01-23 11:00
  • edit
ご無沙汰してます。

遅ればせながら、明けましておめでとうございます今年もよろしく。
と言いつつ、新年早々アーティストの訃報が続きましたね。

ボウイは最後のアルバムに力を出し切って、本望であの世へ旅立ったのなら、とても喜ばしいことなのかな、とも思いましたです。

無題

  • いたち野郎
  • 2016-01-30 23:22
  • edit
yuccalinaさん、明けましておめでとうございます♪ こちらこそ今年もよろしくお願いします。

ボウイの訃報は本当に驚きました。何でも聴いてきたというようなファンではないですが、新作で締めた直後に星になったというのは、ボウイらしい劇的な人生を物語っているなと思います。最後まで らしさ を貫いたなと。

無題

  • 旧一呉太良
  • URL
  • 2016-02-06 02:00
  • edit
いたち野郎様 こんばんは
お久しぶりです。
GAOHEWGII改め
旧一呉太良です。

>「レコードに刻まれた音はみな平等なはずなのに、一方でこんな高いお金を出してレコードを買うことがあっていいのだろうか……」

なるほど、エサ箱にはそんな効果があったのですね。「これはロッドスチュワート100人分だな。」とか。

無題

  • いたち野郎
  • 2016-02-12 00:33
  • edit
旧一呉太良さん、ご無沙汰しております♪

これはマンガのネタですが、ポールのライブいくなら彼のレコードを100枚買える…まさにそんな具合いですね。最初に安いレコードを見ておくと、衝動買いの威勢がだいぶ弱まるんじゃないかと思っています笑。

無題

  • たかゆき
  • 2017-03-26 18:24
  • edit
100円レコードにレア盤が、との夢は無いと分かっててもエサ箱突つく度に心の何処かで期待してしまうもんですがネットで情報が行き渡ったせいか最近は年に一度のミラクルも無いっすねー。15年程前に家電リサイクル屋で京都の放送局下がりのレコードの山を10円〜100円でごっそり買ったのが私の最大のビッグバンでしたストラタやMPSのジャズオリジ、50年代〜の歌謡曲やオールディーズシングル、ロックは既に抜かれてたけど段ボール15箱程目ざといのは全部買って店のトラック借りて運びました。見た瞬間電気が走って行きつけのレコ屋の店長に電話「今、俺の前にストラタやMPSのオリジナルが100円で何箱もある。」店長「買え!全部買え!」て感じ(笑)シングルは全部スタンプが付いてましたが何故かジャズは付いてなかった。聴いて要らないの売っただけでもしばらく潤いましたね。
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