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4番、サード、いたち野郎

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2015年に読んだ本10冊

今年は短い空き時間が多く、それじゃあ映画は見られない、ってことで本をよく読みました。
不思議なもので、今年から読み始めた水木しげる、野坂昭如の両氏が亡くなるという憂き目にあいました。


1.ぼく、ドラえもんでした。

とどのつまり大山のぶ代さんの自伝でして、特にドラえもん作品での録音現場、イベント、旅行などの話を中心に語っているのですが、読んだあとに大山さんが認知症だという発表があり、この本に書いたことも忘れていくのかと思うと、世の中は因果なものだと感じずにおれず。




2.ニール・ヤング自伝Ⅰ

自伝、といってますが生まれてからのことを順番に記していく、という調子はまったくなく、本人の思いついた順に掲載しているんだそうです。ミュージシャン友だちの死、重病の子どもとの日々、音楽ファイルの高音質化プロジェクト、趣味の鉄道模型コレクション……純粋な気持ちで綴られた言葉は本人にしか書き得ない、これこそ自伝、と呼ぶに相応しい一冊。


3.夜と霧

お子さんの教育にもぜひ!とは軽々しく言えませんが、本書の価値というのは単にあのナチスによる収容所での惨劇を経験し、反戦を訴える、というところにはありません。著者は心理学者であり、常に環境の変化と自身、周囲の人間の変化に目を配り、極限状態にいることとは、当事者にとってどういうことなのか。記録的に描くその冷静さにまた身を震わしてしまう、その迫真さに高い価値があるんじゃないかしら、と思っています。映画も有名ですが、原作のこちらもまた名著でして。


4.スタジオの音が聴こえる

レコードジャケットの裏を見ると録音/ミキシングのスタジオの名前が記されていて、あれ、このスタジオの名前を前も見たな、って思いません?そんな経験があって、一時期買ったレコードのスタジオ名をエクセルで記録してました。すぐ面倒くさくなってやめましたが。それで検索かけると、あれとあれが同じスタジオなんだな、とわかったりしてちょっと面白い。
というわけで、本書はロックやソウルの有名なスタジオの開設経緯、コンソールなどを紹介したもので、こういう本ってありそうでなかったというものですし、自分のレコードに対して足りない認識をしっかり埋めてくれた、そんな本です。


5.自動車の社会的費用

自動車ってのはあれだけ人の命にかかわる事故を起こしながら、なぜ大手を振って走っているのか、歩いてる人に対してあんなクラクション鳴らしてさあ、と幼少の頃より思っていましたが、世界的に著名な経済学者が同じことをテーマにしていて、ぼくの思い違いでなくてホッとした次第。自動車を走らせることで経済が豊かになったように見えるが、それにより失われるもの……人命、ケガ、環境、道路の維持費など、それらを解決するための損失を差っ引くと、果たして本当に我々はその恩恵を受けたことになるか、という著書。大量の自動車が闊歩しだした70年頃のもの。


6.われ生きたり

昭和史に名を残す「金嬉老事件」。その内容については「在日朝鮮人に対する差別が絡んで……あとははてさて」という程度しか知らなかったんですが、金嬉老本人による手記のこちらを読みその過程を知ることとなりました。
戦中~戦後の在日外国人に対する差別に思いを寄せることもまた然りですが、何といっても在日朝鮮人で形成された集落……その一部はヤクザと化し、また別のヤクザと相対する。一触即発の仁義なき世界は昭和ヤクザ映画そのもので、その迫力たるや。あらゆる側面から人間について学ぶことの多い一冊かと思います。早川義夫さんもご推薦。


7.「山月記」はなぜ国民教材となったか

あなたも読んだはず、山月記。なぜならば戦後すぐに「良書」としてその地位を確固たるものにした山月記は、今まで教科書に掲載され続けているからです。
山月記が定着していく経緯は意外と短い間になされるのですが、現代小説に対する扱いがいかに変化し、いまでは当たり前になった作者の気持ちの分析……いわゆる「読解」へ至ったのか、という点に腐心した論文となってまして、これまた現役教師によるものですから、現場の労苦というものを思いながら読むのもまたよろし。本当は作者の気まぐれで、そこまで考えて書いてないんじゃね?という誰しもが思う意見も掲載していて、ではその上で、という展開は清々しいなと思います。


8.ハイ・フィデリティ

大ヒットした映画はすでに見ていますが、原作のノリもなかなかイカしてます。最近の海外小説特有のシニカルなのに軽快な感じ、がモロに出てまして、音楽ネタばかりの脚注も楽しい人には楽しいけども、苦痛でしかない人も相当にいるだろう。それこそがあなたにとってのレコードマニアなのです。スティーヴィー・ワンダーのレコードを求められているのに売ろうとせず客を突き返す、あの店員のような。


9.川釣り

興味ないことなのに読んでいると面白いなあ、でも自分ではやらないなあ、っていう本がこれまでにいくつかありました。水上勉の畑作業、蛭子能収の競艇指南、いましろたかしの渓流釣りマンガ、そして井伏鱒二の川釣りをテーマにしたエッセイもまた同じく。


10.餓鬼道巡行

町田康の作品もそろそろ単行本は読み切ったかしら、という中、2件の外食屋に足を運ぶだけで30回の連載を達成したこちらもまた読み応えあり。本書にもあるように、フツーの店の佇まいに、仏教的な思考システムを見出すという変わったしろもので、それは徹底した観察によるものともいえるし、むしろ観察するという姿勢では書けない、自然な姿勢だからこそ描けた、とも見受けられる、そこにユーモア以外の何を見出したらよいのでしょう。


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