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4番、サード、いたち野郎

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映画での音楽(18) 「ミッドナイト・エクスプレス(Midnight Express)」




先日はフロイドの本について書きましたが、そのフロイドの音楽とコンセプトが凝縮されたアニメ映画「The Wall」を手がけたのが、アラン・パーカーというイギリス人の映画監督。1976年に世に送った最初の作品「ダウンタウン物語」は、子どもがギャングの住人になりきり、銃弾の代わりにパイを投げつけ合うという微笑ましい作品でしたが、次の1978年「ミッドナイト・エクスプレス」は、外交上の社会問題を題材にした重めのノン・フィクションです。

旅行先のトルコにて、出来心からハシシを国外へ持ちだそうとしたものの空港で捕まった主人公のアメリカ人男性(ブラッド・デイヴィス)。不法所持ということで4年の刑に服し、刑期も終わりかけたある日、アメリカとトルコの外交上のトラブルにより、彼は見せしめとして裁判をやり直され、30年の刑期へと変わる。アメリカ政府が身柄を引き渡すよう支援を働きかけるも状況は芳しくなく、陰惨な刑務所で精神が破綻。自身と同じく、過剰に重い刑期をくらっている外国人服役囚とともに脱獄を図る…というお話。これは本当にあった物語…主人公のモデルとなったアメリカ人が帰国後に書いた本をもとにしているそうで、この映画が公開された約1ヶ月後にアメリカとトルコの間で囚人交換の条約が結ばれたそうです。まぁ映画なのでいろいろな脚色はあるらしく、当のご本人からも事実と違うと批判があったそうで、たしかにトルコ人の方が見たらおもしろくないでしょうという場面がちらほらどころか結構ある(^q^)

しかしこの作品が当時ヒットし、アカデミー賞では6部門がノミネートされ、そのうち2つが受賞。脚色賞にあのオリバー・ストーン、そしてもうひとつが音楽賞にジョルジオ・モロダーだったそうです。そんなわけで、今回はこの映画音楽を担当したジョルジオ・モロダー。ちょうどキッスも来日しているしカサブランカ・レーベルつながりということで…(爆)

つっても私はジョルジオ・モロダーについてほとんど知らんものでして、でも最初に知ったのは結構前。15年前くらいに買ったジョルジオ・モロダー版「メトロポリス」のサントラでした。フレディ・マーキュリーが一曲歌っているので持ってるってだけなんですが、肝心の映像の方はDVDになっていないんですね。冒頭の部分だけネットで見たところ、スゲー派手なサウンドを挿入しててビビりました。原作はサイレントですからね。ちょっと見てみたい。それは別にしても、モロダーのサウンドがあの時代では突出していたのはあんま知らない私も認めるところで、何かの折に彼がプロデュースしたというディスコ・レコードを聞いてみると、独特のツヤというか、妙なぬくもりを感じることがあります。

80年代はディスコ音楽のみならず、様々な大ヒット映画の音楽も手がけたモロダーですが、その手始めとなったのが本作。ちょっと手探りなのか、序盤の街中を疾走するシーンはスカスカな音で冴えません。が、モロダー特有の色っぽさが出てくるのがラブシーン。服役囚がどうやってベットインを…というのは、同じく服役している男性とシャワー室で濃密に触れ合う場面があるんですね。そこで大げさな鍵盤の美メロディーを奏でつつ、シンセがブワーと盛り上げるという、80年代映画で散々聞くことになるラブシーンの萠芽がここに…。後にピーター・ガブリエルが音楽を担当した「バーディー」もこういった含みを持たせていますね。

その後、ストーリーは陰惨を極めることに。終盤、主人公はある事件を起こし精神をきたした人々が入る建物へ入れられます。そこはもはや囚人の終着点と思わせるような絶望度満点のダークっぷりなんですが、ここでモロダーの冷ややかなシンセが大活躍。暗い音が絡み合い、光も希望もない感がテレビとスピーカーから淀みながら漂ってきます。ここでの音楽が秀逸だったように思いました。

主演のブラッド・デイヴィスは大きな転機となる2度めの裁判、ブチ切れてのケンカでは力の入った演技を見せましたが、それだけでなく終盤の精神耗弱となったところでも抜け殻のように疲れきった姿を好演。「カッコーの巣の上で」のジャック・ニコルソンの2つの姿…あれに近いかもしれません。



Midinight Express Trailer


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