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書籍 「ゴルバチョフはロックが好き?」

 JUGEMテーマ:音楽



「ゴルバチョフはロックが好き?」
原題:Back in the USSR
 
著者:アルテーミー・トロイツキー
訳者:菅野彰子
晶文社
初版:1991年
ページ数:331(本編)
価格:定価3200円


読みやすさ
(文章):           ★★★★☆
(構成):           ★★★★★
読みごたえ:      ★★★★★
初心者にも安心:★★★☆☆
マニアック:       ★★★★☆
オリジナリティ:   ★★★★★

オススメ度:    ★★★★☆


日本人のロック好きもここまで来たか、という感じで、なんと今から20年近くも前にロシア・ロックについて書かれた本が日本語訳で出ていたとは!古本屋で250円(爆) という値段だったので早速買って読んでみました。後にも先にも日本語で書かれたロシア・ロックの本なんてないだろうにオススメ度も何もないだろうと思うのですが…

まず著者のアルテーミー・トロイツキーという人物についてですが、彼は70年頃から音楽ライター、またロック審査会の審査員など(これについてはまた後に説明を…)をモスクワを中心に行っていた人物で、ロシアのロックの動向をミュージシャンとともに歩んできた人物です。

そんな彼がこの本の頭で前置きしていることが、この本はいわゆるデータブックではない。いつかはそうした本を出すかもしれないが、今回は自分の見てきた、体験してきたことを元に、ロシアにおけるロックがどういった環境で展開されていたかを少しでもリアルで感じてほしくて書いた。よって、自分勝手な解釈などがまま入ることがあるかもしれないが、それはご容赦願いたい…といった感じでした。それでも、ある程度の作品やミュージシャンについての情報が巻末に付録として載せられています。


未知の国のロックというのは、その国の伝統的風習や文化に根差したものと関係がある…と期待してしまうものです。
僕はロシアについてほとんど無知ということもあって(研究がら、10人以上の人を殺した凶悪な教師とチェルノブイリ原発事故くらいしか…)、はてさてどんな音楽性のものが展開されてきたのかしら…と読んでみると、これは意外や意外、著者も書いていましたが、音楽的には、イギリスやアメリカで売れていたロックの域を出ない、またはそれより程度が低いものばかりだったんだそうです。ビートルズ、ブルース、レゲエ、パンクス、スカ、へヴィメタなどなど…そうした言葉で括ってしまってオッケーなバンドが大半なのかなんなのか…
ただロシアのロックがアメリカやイギリス以上に優れていた面として、彼は歌詞を挙げています。ロシア人は幼い頃から詩に親しむ風習があり、また閉塞した文化状況もあって、歌詞は激しく、しかし隠喩の優れたものが非常に多かったようです(本の中でも頻繁に曲の歌詞が引用されています)。 そうすると自然に、パンクスの中にはポエトリーな音楽を披露するのも出てくるほどだったそうです。

僕はロシアでのロックというのは非常に厳しい監視下のもと、地下での活動を余儀なくされている、と想像していたのですが、どうもそれは正確ではないようでした。ロシアで音楽活動する場合は、国の認可を受けた者のみが、演奏をし一定の給料をもらうことを許されていたそうです。国の認可を受けないミュージシャンが勝手に演奏を行い金銭を受けることは法律違反でした。しかし、金銭さえ受けなければ、どんな音楽活動をしようが自由だったようです。国や知識階級からしてみれば…この本で言えばビートルズから始まった…ロックは、確かに憂えるべき存在でしたが、それを鼻で笑うように無視し続け、新聞やラジオでは、ロックなんてものはこの世に存在しないかのごとく言葉にしてこなかったそうです。
しかし80年代にもなるとこの勢いを国は無視できなくなり、モスクワに一つか二つだけ、合法的なライヴ・ハウスを作ることを許可しました。これでロック・ミュージックが羽を伸ばして活動できるかと思いきや、国の認可を受けるということは活動が制限されることでもありました。役人の厳しい監視のもと、表現の激しいミュージシャンは駆逐されていきます。その方法とは、これはロシア特有なのかもしれませんが、ロック・フェスティバルのたびに審査員がバンドの審査を行い、順位を決めるという方法でした。これも当時ロシアが抱いていた政治的状況を鑑みると、一概に悪いとは言えないようなのですが…

音源については、60年代や70年代のライヴの模様はほとんどといっていいほど録音されなかったそうです。残念。80年代になってミュージシャンが非合法に自作のカセットテープを作るようになり、ここでようやくミュージシャンごとにアルバムが作られていったようです。 政治体制に翻弄されたロックの歴史、といったとこでしょうか。

それにしても原題が的を射ているあまり、邦題がやや残念な仕上がりです。



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