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2015年観た映画5本

なかなか映画を見られなかった一年に……という体感でしたが、数えてみると60本近く見ていました。それでは世間一般人は平均してどれくらい映画を見ているのか、というと想像はつかないんですが、見る人と見ない人とで振れ幅があるんじゃないかなという気がします。映画や音楽、本の消費数は確実に減ってきているけれども、それぞれの趣味世界はディープになっているわけで、世間と趣味とのギャップはますます広がってきているんだろうと思います。

今年は例年以上に新作を多く見ました。というのも生活時間帯の都合、レイトショーをのんびり見られるんじゃね?ということに今さら気付いて利用している次第です。やっぱ家で見るよりも映画館の方が楽しく、くだらない作品でも目や耳に入る情報自体は心地よく感じられなくもないし、名作に出会う可能性という意味では辛いものがありますが、悪くもないな、という具合いです。いつもは10本出してますが、今年は観賞数が少なかったので5本で。

1.太陽を盗んだ男(1979・日)


沢田研二主演、そして今年亡くなった菅原文太が共演した一大サスペンス。教員の沢田研二が核爆弾をつくり、日本政府をゆするっつー壮大なストーリーです。最近もそういう小説が売れてるっぽくてそれっぽい映画もある気がします、ってその辺のことはよく知らないですが。
理由も目的もなく日本政府を脅し、次々とエスカレートしていく様を楽しんでいる沢田研二が、上映当時は相当ニヒルに感じられたんじゃないかと思います。現在はそうしたスリルをショートカットするように、バトロワやデス・ノートでは(どっちも読んだことないですが)アートやストーリーが介在しない形で「殺し」へ到達する姿が若者の支持を得ています。生活を取り巻く社会の変化は、人間をすっかり変質させます。

2.フィツカラルド(1982・独)

今年もヴェルナー・ヘルツォーク作品を4本見て満足しましたが、こちらは中でも有名な一本。大型の船が急流を渡り、陸を越えていくという力技?というか私ゃ何に感動しているんだっけ、と不思議な気持ちにさせられるギミック無しの大作です。
ヘルツォーク作品に多く出演しているクラウス・キンスキーは、なりきりスイッチが入ると挙動、表情、言葉、叫び、さらにあらゆる器官を総動員してパワーを放射し、存在感を自分へ一手に集中させる恐るべき役者です。実は本作、ミック・ジャガーが出演予定だったそうですが、主演予定だった役者が病気となったため脚本が変更され、ミック・ジャガーの役もポシャることになったという経緯があるそうです。ジャガーの出演シーンも残っていて別のDVDで観たのですが、キンスキーの同じシーンと比べるとジャガーをもってしても気の抜けた風船のように見えてしまう、それほどの力をキンスキーは有しています。

3.マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015・豪)

映画の新作を見る、というのはわずかな好作品を見つけるべく玉石混交のブラックボックスに飛び込むような行為でして、中にはドベと張り紙したくなるような、予告編に騙された作品なんてのもありましたが(予告編の方が優れている作品は実に多い)、そん中から何か一本、となるとベルセバの監督作品かはたまたマッドマックスの新作となりまして、ベルセバは一度紹介したし……ということで、軍配はマッドマックスに上がりました。
こんな導入文を書いていると、世間では大評判、映画史に残る至上の一品、とまで賛辞を受けとるのにてめえは何を渋っとるんや、と関西弁ですごむ人があるかもしれませんが、出し渋った理由の一つに、マッドマックスシリーズの中ではその原点となる最初のマッドマックスの方がずっと好みであることが挙げられます。マッドマックスシリーズは北斗の拳のような「2」の世界観を引き継いでいるので比べるものではないのですが、最初の作品にあった肉感や泥臭さは、丁寧にデジタル処理された新作に見ることはできません。あれだけ暴れて血生臭く見せていても、最近のアクションシーンというのは不思議とどんな作品も均一に見えてしまい、そこが物足らない原因かなと思います。
とはいえ、巧みな演出と脚本が、人の心に潜む原初的な暴力に訴えている点は間違いなく、高度に目に見える暴力が排除されている現代の社会システムにおいて、その鬱憤を晴らすように観客を熱狂させたのはまさに映画世界をリアルに伝達する行為そのもの。その行為を最も高揚させるのは戦闘シーンで流れ続ける重厚なドラム隊とメタル音楽でしょう。そしてメタルが音楽から政治性を排し自ら娯楽へ堕したように、本作の象徴ともいえる軍隊を先導するギタリストの存在は、この映画を分析させることを拒み、客に「バカな映画最高!」とツイートさせ思考停止を促す、一種のモルヒネとして観客を刺激し続けていました。

4.シリアル・ママ(1994・米)

今年からようやく見始めたジョン・ウォーターズ作品。史上最低映画として名高い「ピンク・フラミンゴ」を最初に見て、その後もいくつか見ましたが世間でもヒットを飛ばした「シリアル・ママ」を挙げたいと思います。
本作はある実在したシリアル・キラー(凶悪な殺人者)を題材にしたもの……とオープニングで紹介されますが、ウソです。ひどい。一見平穏な奥さんが、実はキレやすく次々と人を殺すという荒唐無稽なストーリーですが、決してサスペンスではありません。上映開始してすぐ観客は犯人を知りますし。それではどんなタイプの映画に属するかというと、悪質なコメディってことになるんじゃないかな。ここから先は君の目でたしかめてくれ。
シリアル・ママが街をパニックに陥れる、という平凡な脚本に終わらず、周囲の人間も段々と悪ノリになっていくところがこの映画最大のユーモア。シリアル・ママによる一大事件に大勢の人間が興奮し、法廷でのセクシャリティな取引、猥談、家族によるシリアル・ママのグッズ販売、裁判ショーにうつつを抜かす大衆、そして最悪の結末と、人々の道徳観念が堕ちていく……なぜこんな展開を見て喜んでいるのか、私は。

5.ザ・ブロブ(1988・米)

宇宙からやってきたスライムが人間を食べて成長し、巨大化するっつーゲテモノホラー。観賞注意。そんなものを紹介するとは何と趣味の悪い輩か、と思われそうですが、その汚名を晴らすべく相応の理由を説明せねばならんと思っとるところです。
本作は1950年代にスティーヴ・マックィーンが主演した「マックイーンの絶対の危機」のリメイク。ぜひ元ネタを見てからこちらを見ることをオススメします。というのも、古典的ホラーよろしく、マックイーン作品で焦らしながら見せてきたストーリーを、本作ではわずか10分で消化。つまり、スライムの存在を町の人が信じてくれない、をずっと通してきた原作の脚本を無視し、本作でははじめから町の人々の知る所となります。あれ、じゃあこの先は好き勝手やるのか、というとそうではなく、原作の設定を根底から覆す展開が待っている……そうした挑戦的な脚本に限らず、パニック作品に重要な要素であるテンポ、グロさ、突き抜け感ともに感度の高い作品になってると思います。ちょい役でジャック・ナンスも。


明日あたりに本とアルバムもいければいーなと思っています!


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2014年に聴いたレコード/CD 10枚

あけましておめでとうございます。なんですけど、昨年末に余らせていたお題をひとつやらせてもらおうかというつもりなわけです。初めてきいたアルバムに限定しています。

1.Orquesta ARAGON「Danzones de ayer y de hoy vol.1」(1960'S?・キューバ)


御茶ノ水の「Turn Table」さんが閉店する際、テキトーに拾った1枚。1939年からキャリアをスタートさせ、2000年以降も続けているキューバのグループのようです。これは恐らく編集盤?だと思うんですけど、こちらの盤の主流はアメリカ盤。しかし、手元にあるのはどうも違う気がする……ジャケがめちゃくちゃ粗悪ですし。検索では出てこないレーベルです。カナダ盤かもしれないですが、もしかしたられっきとしたキューバ盤なのかもしれない。キューバてレコード作ってたんですかね。どうなのよグリエル。
それはともかく、息の合ったバンド演奏が素晴らしい上、音も極上!youtubeでも後年の彼らのサウンドを堪能できます。

2.Silver Apples「Contact」(1969・米)



単独ではCDで出てないんですね。有名なのは銀色なリンゴの絵をしつらえたファーストですが、セカンドのこちらも非常に良い。
このデュオは謎のエレクトロニクスな楽器とドラムの編成。60年代からこんなことしてるのがいたんです。しかもレーベルが歌ものバリバリなKappってのがまた。あらゆる音楽が混在していたあの頃特有の現象です。
デヴィッド・ボウイそっくりな歌声で、そのボウイの感性を10年先取りしたダウナーな曲、虚ろな空間にバンジョーが鳴り響く曲(まさにスペース・カウボーイ)と、これはもう独自路線、ヒットは叶わないと知りつつも……こうしてあの時代に埋もれたレコードにこそ愛着を持ち続けたいもんです。ジャケットフロント・バックともに最高ですしね。


3.Duncan Browne「Duncan Browne」(1973・英)


今年ですかね、日本盤で良心的価格なCDが再発されました。いまやレコード界隈では人気を誇るダンカン・ブラウンのレコード群。こちらもUK盤はかなりお高いです。
ライナーを読んで初めて知りましたが、ゾンビーズのコリン・ブランストーンと交流が深かったそうです。後にキンクスへ加入する面々とも。ダンカン自身は自作自演なだけでなく、ギターも凄腕。イギリスらしい哀愁ある歌メロディ、それを彩るアコースティックなギターの響きを聴いて、心を潤わせましょう。この後結成するMetroのファーストも大推薦盤。


4.The Noel Redding Band「Blowin'」(1976・英)

CDがまともに出ていない(2in1くらい?)ノエル・レディングのソロ・プロジェクト。ジミヘンのバンドでベースを弾いていたというのに。そりゃたしかに地味な作品ですが、そういうのを聞いていたい時というのもあるもんです。「激情」も、狙いすました「ゆるさ」も、どちらも排した身のこなし。「ロックはシンプルだ」と言うけれども、たいがいの演者はいろいろな期待を込めて演奏を工夫するもんです。本作がどう聞いても売れ線でないのは、悠然とした軽妙さに支配されているためかもしれません。それが、他と比べがたい魅力でもあります。こんなこと書くと「何を言ってるんだこいつは」と思われそうですが……。


5.五つの赤い風船「イン・コンサート」(1970・日)

URC系フォークというのはレコードもCDも値段が高くて、どうも手が出ない。最近出たベルウッド系(?)のも高いですもんね。そんな中「五つの赤い風船」はとても売れていたので、レコードはめちゃ安価で手に入れられます。
A面は今聞くとどうにも受け付けがたい歌詞ですが、珠玉はB面にあり。まずジャックス「からっぽの世界」が始まるんですね。しかも歌とギターは早川義夫、ドラムは木田高介(五つの赤い風船の中心人物・西岡たかしはギターに回っています)。続く「母の生まれた街」も木田のドラムが冴え、西岡の鬼気迫る歌も素晴らしい。西岡が得意にしていたというMCでもすごくいいこと言ってますしね。



6.The Hollies「In London Live」(1969・英)


CD自体は2014年に出たもの。1969年にBBCテレビで何度か放送されたライブをまとめた音源です。メンバーはグラハム・ナッシュからテリー・シルヴェスターに変わっており、アルバムの関係もあってディランのカバーが多いです。豪華な初期ヒット・メドレーもさることながら、オーケストラを配した豪勢なA Taste of Honeyのジャジーなカバーがイカしてます。



7.The Hollies「Evolution」(1967・英)






新年はニューイヤー駅伝……ではなくて懺悔からスタート。なんと、今までこのアルバムをきいてなかったんですね。アナログではなかなかないことと、CDもむかーし一気に出たときに、これだけ買い損ねたからかもしれません。その後の編集盤などで何曲か知ることはできましたが……。
手に入れたのはジャケ違いのドイツ盤(ステレオ)。普通のスナップでサイケ感ゼロです。ホリーズはさわやか系コーラスが売りでしたから、サイケに移行するのは難しかったかもしれません。それでも、飛び道具に頼らずサイケに仕上げている……さすがです。You need loveなんてすごくいい曲なんですけど、短い尺でスパッと切っている。ラフに録っただけなのかもしれませんが、これもまたホリーズらしい心意気です。


8.Jimi Hendrix Experience「Smash Hits」(1968・英)


アナログ時代のベスト盤はCD化の際、もっと曲を詰めた新しいコンピに押し出されます。その存在感たるや扇風機の弱で吹き飛ぶほど。こうなるのは、デジタル処理によりカタログの音が均一化されるためだと思われます。しかし、音がそれぞれ違うレコードのベスト盤の価値は下がりません。
この「Smash Hits」もバンドの中では最もポピュラーなベスト盤ですが、曲数は少ないし、シングル曲しかないんですね。それでもバリバリでバンドが存続している時に出た盤ですから、音は非常に良い。しかも手持ちはレアなモノラル盤てことで、シングルの音を体感できるんです。このバンドの太い音は、モノラルが一番しっくりきますね。ホントはBold as loveのモノが欲しいんですが、信じられない値段で出てます。


9.The Smiths「Hatful of Hollow」(1984・英)





10年ぶりくらいにスミスを聴き直したらすっかりハマりまして、もうこれは2014年で一番聴き込みました。
スミスをCDで聴くならば、輸入盤で出ている「Complete」というボックスが絶対にオススメ。全アルバム&編集盤が、これ以上ない再現度を誇る紙ジャケ(ステッカー、ポスターも!)で収められてます。値段も安いし、ライノてことで音もいい。このボックスを繰り返し聴いていたんですが、特に聴いたのは「実質セカンド・アルバム」とも言われる「Haful of Hollow」でした。これだけ一度も持ってなかったんです。
アルバム未収録のシングルやBBCライブ用の演奏を収録した編集盤。後ろ暗いイメージのスミスですがファンキーな曲も多く、リズムの具合いを聴くのもまた一興です(BBC向けの「This charming man」「Still ill」はどちらもベースの跳ねがよく聴こえます)。「Reel around the fountain」(なんつータイトル)もキーが高いのか、印象がだいぶ変わって聴こえるはず。ジョニー・マーのギターのコード感、色艶が一番の魅力ですか。今月来日するそうですね。
秋に聴き始めて、いまだに抜けられず聴き続けてます。まさにStill ill……「まだ病気!」てやつですね。



10.Tony Kosinec「Processes」(1969・米)

イギリス生まれですが、すぐにカナダに引っ越しそこからキャリアをスタートさせたそうです。
トニー・コジネクのアルバムは多分3枚だけ。ピーター・アッシャーがプロデュースしたセカンド「Bad Girl Songs」が最も有名でしょうか。
こちらのファーストは今年に入り初めて買ったもの。「Bad Girl songs」って一時期すげー高騰してたそうで、今では買える値段に落ち着いてますけど、このアルバムはよく見かける上にお安い。そんな売れたわけでもないだろうに。
アメリカ的な前衛作品にも近い印象を受けるほど、曲が複雑な印象を受けます。盛りに盛ったオーケストラの音もそう思わせる一因でしょうか。



あとはおまけ、というか全然更新してませんでしたから、2014年にこれはなかなか、と唸ったシングル、そして改めて聴き込んだアルバムを。



2014年初頭にも記事にしました、13th floor elevators「You're gonna miss me」のシングル。今まで聴いた中で、最強のシングルかもしれません。60年代のアメリカでいえばドアーズ「ハートに火をつけて」と双璧をなすんじゃないでしょうか。しかもドアーズの方は残念ながら間奏がカットされてますし。



「恋の弱味」。2014年はこれをめちゃくちゃ聞き返しました。筒美京平の世界!歯切れのいいイントロと、マーク・ボランなひろみ・ゴーの歌声!




久々にソウルのレコードも。スライがバンド結成前に自主レーベルをやってまして、そこから出たボビー・フリーマンのシングル「C'mon and Swim」。ワイでも分かる歌詞&のっけからテンションが高いですが、誰が弾いてるんだかギターが冴え渡ってます。全然難しいフレーズを弾かず単音を繰り返すだけ。それで押し切る、パンクにも通じる力強さったらたまりませんね。ソウルのシングルは当たりを引くとでかい。




ここからは聴き直しLP。ドイツNWの雄、ハレ・シャンブルグの名作ファーストです。再発されたレコードも持ってますが、あれはアナログの音がいまひとつ。しかしオリジナル盤が下北沢にあるという情報をつかんでわざわざ買いに行きました。段違いにいいですね。



サングラスをしていない頃のミッシェル・ポルナレフ。70年代後半の再発?オリジナルは高いぽいので致し方なしでしょうか。どの曲も日本人の琴線に触れるような哀愁バッチリ系。



何度となく聴いたアルバムですが、2014年は妙に繰り返しかけました。
自分にとってキンクス「ソープ・オペラ」は癒し効果があります。例えばさっき書いたボビーフリーマンのシングルはこれまた最高なんですが、あまりに世間離れしたテンションなんで、現実に引き戻される反動もものすごい。しかし、ソープ・オペラは我々の実存的な問題をテーマに据えているわけですから、聴き終わっても反動はさしてなく、癒やされているわけです。そういう意味ではキンクスとスミスってのは近親性があるのかもしれません。レイ・デイヴィスもスミスを褒めてたらしいですしね。
カモン ダーリン レッツ ハブ ディナーなんて歌詞で絶頂を迎えるアルバムは、今後も生まれないことでしょう。




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2014年見た映画10本

年末までにレコードの10枚は間に合わず∑(゚Д゚)ガーン まぁ年始でもいいじゃない、減るもんじゃなし。ということで2014年最後は今年見た映画10本を選んでおしまいです。みなさまよいお年を(^_^)/~

1.ヤコペッティの残酷大陸(1971・伊 グァルティエロ・ヤコペッティ)

アフリカ系黒人が西洋社会に蹂躙されてきた歴史を「大げさに」再現したヤコペッティ作品。彼の諸作の中では、批判精神が最も直情的で、ユーモアを配する余裕が少ないと思います。しかし振り切った方法が功を奏し、どす黒いシリアスさが放たれます。
お得意の虚構フィルムの後、時間の針が現代に戻り別の物語がスタート。それは、アフロヘアーの黒人が日々楽しく暮らす白人に対し、残虐な「復讐」を始める、という夢想です。ヤコペッティの文明批判は「やらせも手のうち」とばかりに大仰ですが、この場面は現在でも十分に通ずるリアリティを持っています。フランスやアメリカに限らず、グローバルを標榜する国すべてが抱える問題として。そして、本作最高に痺れる場面となる、アフロヘアーが白人少年のボールを拾うシーンへ……。サントラのレコードもあったはずなんですが、どこへいったやら。


2.わらの犬(1971・米 サム・ペキンパー)


今まで見た中で、最も胸糞悪くなる映画かもしれません。ホラー映画を見てもそうなることはないんですが、ホラーではないこちらを見てそうなるというのはなぜなのか……。
復讐の鬼となり、暴力で正義を遂行する役柄を、ダスティン・ホフマンが超絶に熱演。バイオレンス描写を得意とするペキンパー作品は他にもひと通り見ましたが、これが特にきます。傑作なのは疑いようもありませんが、2度も見たくないと真から思っております。。。


3.ジャズ大名(1986・日 岡本喜八)


北野武版「座頭市」、当時は時代劇なのにタップシーンがあるってんで話題になりましたよね。しかし「ジャズ大名」のどこまでも浮かれた熱っぽさを体験してしまうと、タップシーンがあまりに物足りなく感じます。
ストーリーはとても単純。アメリカから流れてきた黒人たちが日本の小さな藩に流れつき、そこで殿様をやってる古谷一行が彼らに教えてもらったジャズ・サウンドにハマってしまう。殿様のみならず城の者や民衆すべてがジャズの演奏に没頭し、城の地下にこもる。その間にも地上では血で血を洗う戦争が続いていく……。
コメディタッチですが、音楽的に見ても重要な設定がいろいろあります。ここでのジャズはフリーキーなもので、城の人たちはヤバイことをしているという自覚があるのか、アンダーグラウンドへ自ら下っていきます。本来は江戸時代の人たちがジャズを演るというズレが肝なんですが、あまりに本気で長い尺を取って演奏しているもんで、その空気そのものの熱さが一番の魅力になってるんです。手を抜かないことの恐ろしさを見せつけられました。



4.セックス・チェック 第二の性(1968・日 増村保造)


いま何気に話題の「ふたなり」というやつでしょうか。スポーツ選手が両性具有であった場合の判断は難しいもので、実際にも近年そうした事件があったような記憶があります。
改めてどんな映画だったか思い出してみると、主演の緒形拳の大胆さがとんでもないんですね。陸上界ではアウトローであり、己の欲望のままに生きることを厭わない彼が、大変な逸材を見つけ、その女の子を厳しく指導していく。しかし、その女性は両性具有者であることが分かってしまいます。その後のストーリーは破天荒すぎて、こちらで説明するのももったいない。増村保造監督ですから面白さは抜群です。


5.暗黒街の対決(1960・日 岡本喜八)


「ジャズ大名」に続き、岡本喜八監督2本目。このシリーズはどれも面白いですが、まーしかし鶴田浩二の素敵なことよ(^O^) 殴られ地面に打ちつけられても、そのまま考え事を始める三船敏郎のスマートさも素晴らし。そこへ訪れる女が、その後の展開を握るというスピーディーな流れも岡本監督のショーマンシップってやつでしょうか。若き日のミッキー・カーチスは2枚目ですが、3枚目をやらされてます。


6.アギーレ・神の怒り(1972・独 ヴェルナー・ヘルツォーク)


最近の日本代表サッカーに絡みまして、なんともしっくり来る映画タイトル。もちろんサッカーとは何ら関係ありません。
アマゾン開拓を巡り、一部隊が揉めに揉め、内紛とかありながらも奥地へと進んでいく謎映画。結果は火を見るより明らかでして、無残な結末が待っているのは誰もが予想する通りでしょう。それを分かりきっていてもこの映画が興味深いのは、部隊の人間たちが時間をかけてゆっくり死んでいく様が、静謐にすら感じられるところだと思います。弓矢が飛ぶときって、だいたいの映画では「ヒュッ」てSEが入るものですが、本作では音がほとんど入りません。いつの間にか射たれて死んでいる。でも、実際は弓矢の音って大きくは聞こえないはずですよね。本当のアマゾンでロケしてまして、役者さんを見ても疲れきった表情。そうした不意の効果も含め、徹底したリアリズムを感じるのでした。


7.フェイズⅣ 戦慄!昆虫パニック(1974・米 ソウル・バス)

デヴィッド・クローネンバーグの初期作に近いテーマを持ってますね。映像の質感は全く違いますけど、侵略側(本作では蟻ん子)の徹底した生への希求という点で、クローネンバーグ的といえます。
NHKドキュメンタリーのようなミクロ映像で何度も蟻が映り、B級パニックものにとどまらない不気味さが威厳を保っています。死後硬直した死体の手に作られた蟻の巣なんて、なかなか奇抜なアイデアですし、その不明瞭な相関関係が気持ち悪さをドーンと高めています。音楽は冷ややかでいいな、と思ってエンディングのクレジットを見たら、若き日の名前であるツトム・ヤマシタでした。


8.HANA-BI(1998・日 北野武)


むかーしのドラマの曲で「君が笑ってくれるなら 僕は悪にでもなる」て歌詞がありましたが、そんな映画だと思います。なんとひどい説明。
余命わずかとなった妻のために、主人公(ビートたけし)は銀行強盗で得たお金を使い旅行に連れ出す。道中借金取りのヤクザに終われるもぬっ殺し、妻の余生のためには非道な手段も辞さない。彼の親友(大杉漣)はまた別の孤独な生き方をしており、往生する2人がどのように人生を全うするのか。キッズ・リターンよりも物語に広がりがあり、そして後ろ向き。
何でもないようなセリフが、映画のテーマを巧妙に表す場面がありますね。つまみ枝豆が「枯れ木に水やってもしょうがないだろ」と言いたけしにボコボコにされるシーンは、その意味で最も象徴的。


9.チャイナ・シンドローム(1979・米 ジェームズ・ブリッジス)


政治的な作品だと思って甘く見てましたが、そのことを抜きにしても傑作サスペンスになってると思います。製作と出演にマイケル・ダグラス。
アメリカの原発事故の告発を巡り、リポーター&告発者と原発会社がギリギリのところでせめぎ合いを展開。ついには内部告発者が原発施設を乗っ取り、テレビの生放送で告発することを要求する。しかし、施設側は事故の事実を知られたくないため、機動隊を突入させて事件の鎮圧を図る……。
映像そのものの緊張感も相当なものですが、スリーマイル島の事故より12日だけ早く公開されている点も重要でしょうか。施設側の隠蔽体質、反原発団体のピースフルな活動どちらにも異議を唱えているように思えます。そして、何よりも巨大利権を内部告発することの危うさを肝に据えているんじゃないでしょうか。我々が生活するあらゆるところに、暴力が緻密に作用しているのかもしれません。


10.ジャージー・ボーイズ(2014・米 クリント・イーストウッド)


唯一の2014年作品!映画館で見ました。お客は一桁、若者なし。大丈夫か日本の映画興行。
クリント・イーストウッドが監督した、フォーシーズンズの伝記映画です。ちょいミュージカル仕様……というのも、本作で出演しているフォーシーズンズの面々は、アメリカでロングセラーとなっている同ミュージカルに実際に出演している方々なんだそうです。
これが軽快ポップな味付けをしてまして、ストーリーの解説を当事者であるフォーシーズンズのメンバーが次々としていく。役者が時たまカメラに寄ってグチをこぼす、って具合いですかね。そのおかげで鑑賞する側と映画との距離がすこぶる縮まるんです。
映像のテンポは軽やかなんですが、物語自体はなかなか重い。メンバーにマフィア絡みのワルがいて、これがジェームス・ブラウンもびっくりのヤバさ。ソロでも成功するフランキー・ヴァリは、クライマックスで「君の瞳に恋してる」を歌うんですが、この曲に込められた苦悩の物語は涙なしに見られない。・゚・(ノД`)・゚・。



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2014年読んだ本10冊

ありのままの私で過ごしていたら、ブログを更新しない夏~2014~となってしまいました。

それでも恒例としている「今年のザ・ベスト10」は1年を振り返る上でも楽しい作業なので、年末ギリとなっていますが始末をつける所存です。

去年からレコードと映画に加え本も選んでいるんですが、今年はその「本」に重点を置き始めたので、格段に数多く読み、記録もつけるようになりました。まずは、今年読んだ本から紹介していきます。


1.エビスさんのパチンコ日記 蛭子能収


テレ東「路線バスの旅」で再ブレイクした蛭子能収さん。彼のマンガや著書が好きでよく読んでいるんですが、1996年に出版したというこの本は、彼の著書で一番面白いかもしれません。
日々のパチンコ行脚で感じたことを挿絵付きで記すだけですが、海外や離島でパチンコをし、他にもパチンコ哲学の披露、今のパチンコにモノ申す的な厳しい指摘など、多彩に攻めています。シンプルですが、隙のないスマートな企画が良かったんじゃないでしょうか。他の本で「エビスさんに怖いことを体験してもらい、それをリポートしてもらおう」なんて投げやりな企画モノがあったんですが、これはつまらなかった。
そして、たまーに出てくるパチンコ四コマが出色の出来です。好きなテーマでマンガを書くんだから、面白さも段違いですね。ぼくはパチンコ店に入ったこともないですが、それでも楽しく読めます。



2.相撲の歴史 新田一郎


「人気復活!大相撲」とまでNHKが喧伝しておる昨今。たしかにチケットは取りづらい、場所以外のイベントも盛況と聞いておりますゆえ、客足が戻っているのは間違いないでしょう。
そんな状況に水を差す(?)かのごとく「大相撲=相撲ではない!」という衝撃の帯をまとったこちらの本。東大の法学者/歴史学者、そして相撲経験者でもある(1994年当時34歳!)という新田一郎さんが書いたものになります。400ページを超える力作であり、かつ学術的な記述となりますので、一度ですべてを理解するのは難しいです。しかし、丁寧に順をおって書いているので流れはつかめます。
神話として残されている相撲からスタートし読み進めていくと、これが意外にも相撲のスタイルが一本化されず、どうにも地味な存在感のままゆるく発展していくんです。それが今のような大相撲(そして認知度が低いもののアマチュア相撲も)になっていくのは、文明開化の反動による社会の保守化、第二次世界大戦の国策、なんてのがどうも関わっているらしい、というダイナミックな歴史へと連なっていきます。手元に置きたい一冊。


3.伊藤潤二傑作集8 うめく排水管 伊藤潤二


お気づきの方もいるかと思いますが、ぼくはグロテスクな描写が好きです。もちろんグロけりゃいいというわけではないですが。その点伊藤潤二のホラー漫画は、ただグロいだけじゃない、あらゆる魅力にあふれています。
とはいえぼくは日々のアンテナの高さがとても低いため、伊藤潤二を知ったのは近年。そんな折に「伊藤潤二傑作集」が順次発売する、ということで昨年半分購入し、後半も一気に手に入れたわけです。
8巻は、不条理な世紀末を描いた「首吊り気球」、歪んだ美へと偏執する「肉色の怪」、暗すぎる復讐劇「土の中…」など名作多し。子どもの時に想像した怖いこと……あの時の感覚がよみがえります。彼の漫画にはよく若いカップルが登場しますが、あからさまな性愛を描くシーンはまったくありません。健全な日常描写はとても古典的なのですが、ホラー描写はそんな平和な生活を切り裂くかのごとく。楳図かずおの影響?



4.永山則夫 封印された鑑定記録 堀川 惠子


永山則夫の「真の」精神鑑定記録発掘、とのことで、しかもそれがテープで残っていたんだそうです。彼の暗い生い立ちに潜む心情の変化が、裁判記録よりも断然生々しく描かれており、ドキュメンタリーとしても読み応えがあります。
著者の方はおそらく死刑反対の立場でもあるジャーナリストなので、読む方にはその辺を汲み取った上でも判断いただければ、という具合いです。




5.「奇跡」は準備されている オレグ・マツェイチュク


長い歴史の中で低迷を続けていた日本フェンシング。それを短期間で底上げしたのが著者であるウクライナ人のオレグコーチです。北京五輪、ロンドン五輪で立て続けに銀メダルを獲得するなど強豪へと導いた敏腕指導者ですが、その方法は非常にロジカル。スポーツ指導者なんだからロジカルで当たり前なんですが、彼は選手との距離を縮め、プライベートの生活まで把握し戦略分析に生かすんだそうです。
日本の野球でも、広岡達朗氏がそんな人だったみたいですね。ただ、彼の場合は強引に探りを入れるもんで、選手から反発をくらい1年しかもたない。もちろんスポ根精神論は(わずかな素晴らしい面も認めつつ)もってのほか、とのことです。他の人で言えば、桑田真澄さんの主張に近いんじゃないでしょうか。
ぼくも自分の経験から、彼のようなスタイルには賛成ですね。練習中に大声出してピシッと立ってれば評価されるなんてめちゃくちゃな話で、今考えたら評価が楽だからそういう指導をしてたんでしょうね。でもそれじゃ教育にならんし、うまくもならんし。




6.読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読 佐藤優


読書の本ってのが世の中にはたくさんあるんですね。今さら知ったわ。ということでテクニカルな速読ものも含め5冊くらい目を通しましたが、最初に読んでほーとなったのがコチラです。
佐藤優さんていろんなメディアで目にする人でして、国際社会などを論じる文筆家です。学生時代から相当数の本を読んできたそうで、どうすればはやく読めて、そして自分の中で吸収できるかってことを書いています。
著者は自分が亡くなるであろう年齢から、あと何冊本を読めるか、ということを逆算します。そうすると人ひとりが読める本の数は大したものではない。少しでも効率よく自分のものとするためには「速読」すべきものと「熟読」すべきものを判断していかないといけない、とのことだそうです。高校の教科書を徹底的に読み直しましょう、ということについて力説してまして、高度なビジネス・パーソン向けの本という趣き。ちなみにぼくはそんなハイエストなパーソンじゃないですけど、難易度高めのことをしとくに越したことはないんで、努力しなくてもできる範囲で実践してます。



7.論文捏造 村松秀


「ありまあす!」と巷でネタにしていたものの、冗談を言うのも気が引ける事態になったSTAP細胞問題。実は数年前に、世界中を巻き込んだ「論文捏造」がアメリカを中心に起こっていたんです。本書はその当時にNHKのチームが番組用に取材したリポートになるんですが、驚いたことに、STAP細胞の件と近似したケースになっています。
こちらはSTAP細胞と分野はまったく違い「超電導」という研究が舞台なんですが、捏造したとされる人物のバックグラウンド、論文のミスがなかなか検証されなかった経緯など、まるで今回の事件に置き換えたと思えるほどよく似ています。ということは、本書での指摘は例の件にも当てはまるわけで、リアルな実感を持って読めると思います。


8.野茂英雄-日米の野球をどう変えたか ロバート・ホワイティング


野茂のメジャーでの活躍をテレビで見て、9歳の自分はめっちゃエキサイトしてました。自分の成長期を振り返る上で、大きなターニングポイントでしたね。野球をやるきっかけにもなりました。
実はもっと小さい時からプロ野球選手では野茂が一番好きでした。彼が登板するかどうか神頼みをして(先発ローテーションなんて知りませんから)近鉄戦を見に行ってました。ただ、その時はプロ野球選手のひとりっていう、至極当たり前な認識でいたんですけど、メジャーで外国人選手を手玉に取る姿を見ると、もっと大きな存在に見えるんです。日本のみならずアメリカでも社会現象!って紹介をされて、漠然とですけど、今考えると「誇らしい」という気持ちを持っていたんでしょうね。日本人が海外でも認められてそう思ったのは、後にも先にも野茂だけでした。
著者はアメリカのスポーツライターで、野茂のパイオニアとしての活躍を高く評価。野茂は日本だけでなく、アメリカにも多大な功績を残したと書いています。ストライキ明けのメジャーリーグに客を呼び戻し、ファンの人種差別的な言動にも我慢を重ねて勝利。アメリカから見た野茂の評価は、日本から見たそれ以上に多面的だと感じます。



9.フルメタル・ジャケット グスタフ・ハスフォード

キューブリック監督作品「フルメタル・ジャケット」の原作小説。図書館で見つけて読んだんですが、これは映画公開直前に出版されたものとのこと。どうやら、それ以来再版されてないんじゃないかという気がします。もったいない。
映画での汚いセリフや構成も原作通りのものでして、翻訳の豊潤な語彙がいいのか、実に気持よく読めます。兵士同士が悪い冗談をずーっと言っていて、そんな中でも戦況がじわりじわりと進展していく。姿の見えないベトナム人スナイパーによって仲間が次々と殺される悲惨な状況になっても、感情を削ぎ落とすニヒルな描写が続いていきます。悲鳴も断末魔も日常のサウンドのように。
偶然にもこれを読み終わった日、映画で使われていた「Surfin' Bird」のレコードを手に入れました。なんという因果、というほどのものでもないですかね……。





10.仲代達矢が語る 日本映画黄金時代 春日太一


仲代達矢主演「切腹」を去年見てこりゃすごい映画だ、となりまして、それから仲代さんが出演する映画を探すのがクセになってます。
これは映画研究家の著者がロングインタビューしたものですが、著者の方が結構若いんですよね。尊敬するあまりインタビュー初日は震え上がったそうですけど、これが時系列によくまとまっていて、とても読みやすい。
終戦が記憶に残っている世代、というのは芸術に対するひたむきさが違うといいますか、今年も菅原文太、高倉健、李香蘭などそうした重さを感じさせる方々が次々と亡くなりまして。そんな状況ですから、映画にたくさんお金をかけられた時代を振り返るには、残された時間が少なくなっていると思わざるをえません。出演作、共演者や監督との交流が、穏やかな口調でよみがえります。黒沢監督、丹波哲郎など変人エピソード盛りだくさんですが、仲代達矢も相当にきてます。



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今年初めて聞いたもので良かったもの10枚

1.The Brian Ferry Orchestra「Jazz age」(2012・英)


昨年末に発売したブライアン・フェリーによる過去作品のジャグ・バンド風リメイク。まるで1930年代のような録音で、古めかしい佇まいを体験できます。
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2.Paul Anka「The Painter」(1976・米)


AORという括りも一筋縄でいかないものがあって、特にポール・アンカの場合は積み上げてきたキャリアが相当なものであるはず。彼の中でこの洗練されたサウンドへ行き着いたのは自然の成り行きだったのか果たして、というところに興味もありますが、美メロ満載&さすがの歌心で豊穣な空気を作り出してくれます。ジャケがアンディ・ウォーホルというのも自信のほどだったのか。でもCDにはなってないぽいですね。うーむ。
該当エントリ


3.David Stoughton「Transformer」(1968・米)


レコードプライスガイドにも載っていない彼は何者…Elektraから出てるのに。現代音楽のアプローチ、というのもいろいろあると思うのですが、このアルバムのA面ではメロディがありながらハーモニーが妙な結合を見せていて、何でもアリな同時代の中でも異色なんじゃないでしょうか。
該当エントリ


4.Mike Oldfieid「Incantations」(1978・英)


有名作なのに今さらですみません…。マイク・オールドフィールドの初期作をまとめた便利なCDがありまして、ジャケは差し替えられてしまいましたが4枚目にあたるこの「Incantations(呪文)」が何ともクセになる…ミニマル効果をバックに、チューブラー・ベルズを彷彿とさせるマイクの重ねギターメロが泣ける(´Д⊂ヽ


5.John Fahey「Yellow princess」(1968・米)


今までCDで数枚しかなかったJohn Faheyが、今年になってレコードで4枚も入りました。うれしい。彼のギターサウンドはレコードで聞くと残響やカッティングの具合いがダイレクトに伝わるのですが、ロック最盛期の空気にとらわれぬ独自のアバンギャルドが何よりも面白いアルバム。


6.Mungo Jerry「You don't have to be in the army」(1971・英)


聞いたことがあるようでなかったMungo Jerry…多分、同じドーンレーベルの類似したグループと勘違いしていたのかもしれない(^q^) 「過小評価」なんて言葉がありますが、当時の英米(日本でもそこそこ)での爆発的な売れ方から相対的に見ると、現在の日本での評価はかなり低いかもしれない。とはいえ古き良きスキッフルを持ち込んだ彼らの姿勢が、今のイギリスでどう映って見えるのかってのも分からんですが。


7.Esperanto「Dance Macabre」(1974・英)


カタログでは前から知ってましたが、あまり乗り気のしないジャケなため絶賛敬遠していた一枚。高いテクニックを誇るド直球プログレですが、ドタバタぶり、複雑さ加減がいい具合に絡みクセになる。申し訳程度に収録されている歌ものがクリムゾン風…と思ったらプロデュースがピート・シンフィールド。


8.Peter Ivers「Terminal Love」(1974・米)


これも意外に聞いていなかった…まぁいずれ手に入るでしょ、みたいに高をくくっていたら彼のアルバムでは最後になってしまった。
何ともただならぬジャケですが、しかし彼の音楽にふさわしいジャケというのはパッと思いつかないもので、音の方を聞いてみると、こうして本人が何の意図かわからぬ感じでバンと写っているのがベストなのかもしれない。何の説明にもなってません(^q^)


9.Jan & Dean「Folk'n Roll」(1965・米)


ジャン&ディーンによる名曲カバー集…ロックの音を意識しているのか、ガチャガチャしつつ演奏の歯切れが鋭い。「明日なき世界」もいいですけど「イエスタデイ」は哀愁のムードたっぷり。


10.「サザエさん音楽大全」(2013・日)


ついに出たサザエさんサントラ!!北川修&筒美京平のタッグによる古いサザエさんの2曲も目玉ですが、なんといってもあの普段バックで流れるインストが大量に収録されているのが肝。意外とノリが大事にされてるとか、楽器のチョイスとか、テレビアニメ用の音楽ってのは面白い作り方してますね。はじめのうちはあまりに耳慣れた曲ばかり流れるんでなんか笑っちゃってましたが。


たぶんこれが今年最後になります。良いお年をお迎えください。




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