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書籍 「ロックミュージックの社会学」





「ロックミュージックの社会学」

著者:南田勝也
青弓社
初版:2001年
ページ数:212ページ
価格:1680円


読みやすさ
(文章):★★☆☆☆
(構成):★★★☆☆
読みごたえ:★★★☆☆
初心者にも安心:★★☆☆☆
マニアック:★★★☆☆
オリジナリティ:★★★★★

オススメ度:★★☆☆☆


結構売れているっぽいこちらの本ですが、ロックの本というよりはタイトルにある通り、社会学の本。ロックと社会というと密接な関係にあると言われていますが、この本ではそうした関係性をひもとくのが目的ではなく、あくまでロックそのものを社会学的に分析するのが目的となっています。
著者の南田さんという方は当時、千葉大卒業後、関西大学大学院の後期課程に在籍…後期課程というのは、大学院は前期課程と後期課程に分かれていて、大学教員目指す人なんかは後期課程でも勉強したりする…そんな物好きが集うところです。 この本は著者の論文をベースに書かれたもので、その論文のタイトルは「ロック音楽文化の構造分析」というもの。
こういうロックを学問的に読み解く本って結構売れてる気がします。ちょっと古い本でもいまだに本屋さんで見たりしますし。ロックという概念的で明確な範疇のないこのシロモノを、客観的に捉えるとどうなるか、というのは多くのロックファンの興味関心を惹くのではないでしょうか。 とはいえこれはあくまで学問書としての趣きがあるので、普段のように受動的に読み進めるのは結構難しいと思います。自分から理解しようと努めないと何が書いてあるのか一向に分かりません。本のタイトルはちょっと知的なくらいで親しみやすそうですが、中身との親和性は低いかな…と。そう、まるで洋楽の邦題のように(爆)


そんなわけでこの本の中身を説明しようとするとかなり大変な作業に…というより、僕もよく分からないんですけど(撃沈) (この本が)誤解を受けることを覚悟で超簡単にかいつまんでみますと…

まず社会という空間がある。その中で人々は互いを差異化することで自身の価値を高めようとし、そうした闘争によって人々が社会空間の中の色々な場所に配置される。これが明瞭なかたちで表れたのが、ヨーロッパで見られる「階級」なんだそうで…

ただ、この差異化する基準というのは一つではないらしいです。スポーツの世界では運動能力や技術の高さによって人々の差異化が行われますが、学問の世界では理論的に考える能力が評価され、運動能力はたいして求められていません。つまり、世界ごとに人々が差異化される基準というものが存在するんだそうです。そして、その差異化というのは必然的に起こるんですと。

で、ようやく本題に入ると、こうした差異化というのがロックの世界でも行われているんだそうです。そもそもロックという言葉の意味、定義自体が曖昧模糊としているんですが、実はこのロックの定義、意味づけという闘争がロックの空間(この本では「ロック<場>」と表現されている)では行われていると。ロックがロックであることを決定づける価値体系をこの本では三つの指標に分けています。それはアウトサイド指標、アート指標、エンターテイメント指標。労働者階級や不良、みたいのを意識させるのがアウトサイド指標、ビートルズのSGTのように高い芸術性として評価されるものをアート指標、スタジアム級のライヴとか、チャートでガンガン売るとか、そんなのがエンターテイメント指標…みたいな感じだと思います。この三つが互いに融和したり反発したりする中で、ロック<場>の論理が成り立っているんだそうです…いやぁ、眠くなってきましたね(爆)

で、この論理を証明するために日本のロックの推移をたどりながら検証しているのが本編…といっても、上述した内容が全体の半分以上ですからね~。いわゆるロックの四方山話みたいのはほとんど出てきません。たまにアーティストの誰かさんの歌詞とかインタビューを証言として使う程度でしょうか。

そんなところで、★は二つ…これは、難しい本で退屈だからよ、という娯楽の観点からは省いたつもりです。この本に限らずですが、論文というのは不思議なもので、物事を説明するために論理的に書かれているはずなのに、本当に読み進むのが辛いものです。僕が学生として読んできている記憶から推移すると、同じ意味の内容を言葉を変えて再登場させることが多いからだと思います。同じ言葉ばかりだと、語彙力がない=稚拙 と思われるからなのかしら。一つ一つのことを説明するのに以前提示した論理を持ってくるのはいいんですが、そのまま持ってきてくれたらそのときの内容を思い出せるのに…と思いながら若者は悪戦苦闘している…はず。そんなわけで、評価の大部分はやや辛め… でも論文ということで独自の論理を展開しているので、当然オリジナリティは五つ星です。
不満としては、結局ロック<場>というものがそもそも何を持って闘争が行われているのか、というのが分からなかったことでしょうか。色々なロックバンドの証言や歌詞が登場しますが、なぜそれらの言葉がロック<場>で引用されるのか。こう書くと、つまりは幾多のロックバンドの中でどうしてここで挙げたものがロックなのよ、ということになって、それこそこの本の論理の思う壺で、そうした議論が行われているのがロック<場>なんですよ、と言われそうですね。しかし、ロック<場>をその空間の外から外観しているのが内容のほとんどなのに、突然、その闘争の的となっているアーティストの発言だなんだ、と出てくると、突然その闘争の参与者からの視点に移ったように見えて、どうもごちゃごちゃしてくるような…。ロックの定義を巡る問題について書いていても、その「ロック」という言葉が持ってきた意味についてはほとんど触れられていません。だから、いきなりキースがこう言いました、ディランがこう歌ってました、なんていきなり出てくると、あれっ、この人たちはロック<場>参与者の議論に寄与している証拠、説明がなかったけど…なんて思ってしまうことも…僕の読解力のなせる業なのかもしれないので、右から左に受け流してください(古)


もし興味を持った人がいたならば、まずは立ち読みして中身を確認されることをオススメいたします。本の絶対的価値とはまったく違う意味で、期待を裏切られるかもしれません。


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