「ロックンロールの時代」
シンコー・ミュージック
著者:萩原健太
初版:1993年
ページ数:267+CD選
価格:定価1600円
内容
1章 ロックンロールの誕生
2章 ロックンロールのオリジネイターたち
3章 ロックンロールのポップ化
4章 60年代のロックンロール
読みやすさ
(文章): ★★★★★
(構成): ★★★★★
読みごたえ: ★★★★☆
初心者にも安心:★★★★★
マニアック: ★★★☆☆
オリジナリティ: ★★★★☆
オススメ度: ★★★★★
アメリカン・ロックに詳しい評論家、そしてペットサウンズ大好きな萩原健太さんの著書。
60年代の英米ロックへと行き着くことになる音楽を軸に、1950年代~60年代中頃までのアメリカン・ミュージックの変遷を追っています。
構成の大まかな内容としては、章ごとにその時代の音楽、または音楽産業の変化や特色をとらえ、その後に時代ごとのキーとなる各ミュージシャンを取り上げるという形が多いと思います。
そもそもが大衆音楽としてスタートしたはずのロックンロール周辺の音楽が、巧みな形で商品化され、その知名度が全国区となり、そして音楽性は複雑化をきわめていく、そうした変化がわずか15年近い間になされてきた…もちろんそのエッセンスの多くが、イギリスから始まるロックの胎動と強いかかわりを持っているわけですが…
エルビス・プレスリーやチャック・ベリーらによる、私的で奔放なものだったロックンロールは、レコード会社からの注目とともに、ニール・セダカやキャロル・キングらによるソングライターと、表舞台に出る出演者(偶像)の作業を分け(アメリカは音楽が商売になった時代からこうした分業を得意とした歴史がある)、はたまたフィル・スペクターの「フィレス」や「モータウン」など、音の新鮮さを追究する戦略的なレーベルによるプロデュース作業といった、箱庭的なやり方に取って代わられるのですが…。これは華やかなアメリカン・ドリームを象徴しながらも、逆にブリティッシュ・インヴェイジョンを真っ向から喰らう要因ともなったのかもしれません。
といっても、その後イギリスの音楽が世界中を席巻したかというとそういうわけでもなく、ブリティッシュ・インヴェイジョン後もイギリスは常にアメリカの超巨大市場のご機嫌を伺わなければならない状況が続きます。 こうして、アメリカ産のロックンロールに根幹を置く音楽は、図らずとも互い(もちろんイギリスに限らず)の不思議な作用によって、恐ろしいほど多様化しながらも、その聖域は失われずときにぶり返される、そんな反復によって「ロックンロールの時代」は今でも続いているといえるのかもしれません。
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