オリジナル作品は4枚目「Contrast」を持っていただけなので(しかもボロ盤)、それ以外のアルバムを聞くのはお初。印象的だったのは、結構黒人ソウルの曲をカバーしていて、その色が徐々に濃くなっているところでしょうか。ファーストはまだオリジナル曲が少ないですが、ジョニー・キッドのカバーが入っているとは! 曲はこれまた抜け目なく「Doctor Feel-Good」。ケレン味のあるギターの音からしてすでに只者ではない雰囲気が。
サード「Extra Extra」では、同期のビートグループを強く意識しているのか、Easybeats「Friday on my mind」やSmall Faces「Understanding」のカバーも。次の「Contrast」から「Studio」にかけて独自のサイケ路線を固めていった、という感じでしょうか。この5枚までの間、なんと丁度2年という駆け足。この頃のバンドサウンドの変遷は凄まじいですね…。
こんな曲があるくらいなので、甘いナンバーは皆無で、ガレージ系のサウンドが中心。A-3でスモーキー・ロビンソン「My Girl」、A-5「I'm So Lonesome」はジョン・メイオール、B-5「It's all over now, baby blue」はボブ・ディラン(バーズのサウンドに近い気がします)、B-6「You'll be mine」はハウリン・ウルフと、バックボーンを身近に感じさせるカバーもあります。B-2の「Hate Everything Except Hattered」はオルガンを土台とした、アニマルズ風のスローナンバー。「朝日のあたる家」のような哀愁溢れる曲。スモール・フェイセズが奏でたような感動的なB-4「I must hope」、これまたオリジナルのB-3「I feel so lonely」は、重心低いピアノ&ギター・ブルースをバックに語りが入ったりとかなり面白い作り。
夜逃げ成功、ということで早速レコネタで、でもCDですが…。オランダのバンドSupersisterの「Present from Nancy」です。最初のアルバムみたいです。これまた思い切ったジャケで、こんな偏屈なフロントカバーですが一応れっきとした大レーベル、ポリドールから当時出たアルバムなんだそうです。
メンバーはRobert Jan Stips(keyboards, vocals), Sacha van Geest (flute), Marco Vrolijk (drums) and Ron van Eck (bass)という編成。キーボード主体で、カンタベリー系の様々なバンドを思わせるようなジャズロックが聴ける…という感じですが、国も人脈も違うので、同じような感じかというとまた違うわけで、Supersisterのここでのメロディは分かりやすく、はっきりしていて、ドラムがちょっと変わった叩き方をするのもこのバンドの独創性に一役買っているような気も。
ギターレスのバンドなんで、歪む音がキーボードしかないんですが、それでも結構重め、というか低音域で展開する曲が多いので、やはり雰囲気は重い感じが。遊んでるようなふざけたような歌やリフが突然出てきたり、曲へのアイデアは独特なユーモアに溢れていてかなり楽しいです。そういう意味ではブリティッシュ勢のようなところもあるし、当時イギリスでちょっとした人気になったのも通ずるところがあったからかもしれません。このアルバム後にはエルトン・ディーンとツアーもしたんだとか!?